【A3!】同期と先輩【茅ヶ崎至・卯木千景】

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「茅ヶ崎、本当に良かったの？」

遅いけど店に着いて料理が届いた時に聞いた。頼んだドリンク、コーラだったし。

「大丈夫。気にしないで」

「ならいいんだけど...」

「立花はいつもあんなことで怒られてるの？」

「まぁ大体はそうですね。私のミスもあるので、毎回ではないですけど」

そう言うと先輩は、深いため息をついた。何か悪いことでも言ったのか、私。

「ほぼ毎回のように出張から帰ってくると、部長に立花は仕事ができないとか甘えてるとか言われててさ。俺には立花がそう見えなかったら、信じられなかったけどやっと分かったわ」

先輩は出張が多い。私の入社１年目の時も、今よりは少なかったけど他の人よりも多かった。先輩がいないと誰にも聞けなくて、困ってたのを覚えている。

「部長は女性に恨みでもあるんですかね？」

ちょっと笑いながら言ってみた。男社会の商社を選んだのは私自身だし、こんなの予想できてなかったわけではない。まぁ、ここまで酷いとは思わなかったけど。

「女性にってわけではないだろ。他の女性社員には甘ったるいくらいだし。立花は営業成績いいから、妬みだろ。あの部長、たまに俺に「立花は女を使って、客を取っている。だから負けんなよ」って言われるし。冗談で言ってんだろうなってスルーしてたけど」

「女を使ってと言われましても、名刺渡しても男性でこの名前は珍しいですねと言われるんだぞ？使えるわけないだろ」

また笑いながら言った。学生の頃からだけど、いづみみたいに女の子らしければなぁなんてよく思ってた。演劇部に入ってても、まわってくる役の9割5分は男役だし。この生き方は嫌いではない。ただいづみみたいな生き方もしてみたいなぁと思ってるだけ。

「俺は立花のこと、努力家で充分女性としても魅力があると思うんだけど」

「茅ヶ崎、いきなり何？もう酔ったの？」

「残念ながらシラフです」

コーラの入ったグラスを回しながら、言う茅ヶ崎。こいつ、アルコール頼んでなかったんだった。

この後はひたすら私が今まで理不尽に怒られた話を、聞いてもらった。手伝ってもらったお礼なのに私の話でいいのかとは思うけど、2人は話を聞いてくれるので話を続けた。

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