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「お呼びでしょうか」
いやいやと上司のデスクの前に立つ。もちろん顔には出さないよ、大人だし?
「立花。俺、打ち合わせで使いたい資料だって言ったよな?」
「はい。仰いました」
「なのに何で、1部しかないんだよ!それもホチキス止めもされてないで」
「申し訳ございません。何部必要なのかも分かりませんでしたし、もしそれをコピーするのならホチキス止めは邪魔だなと思いしませんでした。大変申し訳ございません」
頭は下げるが、自分が悪いとは思ってない。そもそも提出期限ギリギリで持ってくるのが、悪いと思う。
「何でも分からなかったらやらなくていいのか?そんな訳ないだろ。考えれば分かることだろ!それも1人でできる仕事なのに、茅ヶ崎や卯木にまでやらせて…。これだから最近の若い女は」
この会社の営業部には女性が少ない。そして私以外の女性社員は、この上司に気に入られている。だからなのか知らないけど、この上司は私へのあたりが異様に強い。本当は嫌だが、これ以上面倒ごとになるのは面倒なのでひたすら頭を下げる。
「何でも謝ればいいと思ってんだろ。謝れば許してもらえるもんな。楽でいいよな、女は」
女女うるせえとか思いながらもの頭を下げる。そろそろ限界値きそう。我慢我慢。ひたすら頭を下げ続けていると、左肩がポンと叩かれた。
「申し訳ございません。私の指導不足でした」
入社1年目。私の教育係は卯木さんだった。だからなのか、先輩も一緒に頭を下げてくれている。
「ただあの量のデータをろくにまとめてもなく、本日の13:00提出はほぼ1人では不可能です。こちら側の願いとしては、当日決まった緊急の仕事以外は早めにご連絡を頂きたいと思っております。そして部数ですが、最初に聞かなかったこちらにも非があります。そして渡した際何も仰らず、昼休憩の放送とともに外出し開始10分前に戻ってきた部長にも、非がないとは言えません。なので頭ごなしに怒るのは、辞めませんか?」
先輩がそう言うと、上司は一瞬黙った。そしてすぐ、「5分で35部。ホチキス止めまで終わらせて、提出」と言った。鬼だろ。
私は受け取り、とりあえず全ページ35枚ずつコピーした。ページを揃えていると、隣で先輩はホチキス止めをしてくれた。茅ヶ崎も後からやって来てページを揃えるのを手伝ってくれた。その他にも、いつもはスルーしていく人たちも手伝ってくれて5分ギリギリで終わった。
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てら(プロフ) - 自分にも似た様な経験があるので主人公の気持ち痛いほど良くわかります。主人公がまた職場に戻って欲しい気持ち半分、無理しないで欲しい気持ち半分です。この暖かい環境で主人公がまた心から笑える日を楽しみにしています。続き楽しみにしています、頑張ってください! (2019年10月14日 23時) (レス) id: dc9ce9c8b0 (このIDを非表示/違反報告)
ginmikoto(プロフ) - 上司に殺意が湧きました。至さんも千景さんもツートップで推しなので恋愛でどちらかを選ぶなんて、私はおそれおおくて出来ませんね笑。でも、更新すっごく楽しみにしてます!頑張ってください!そして至さんの教育係の人に惚れました。笑 (2019年4月4日 0時) (レス) id: 91596e022c (このIDを非表示/違反報告)
椏萌☆紅弥 - これは泣くな。(確信) この話や読んだら寝ようと思っても続きが気になって更新されてる分全部読んじゃいました笑 頑張ってください! (2018年10月22日 23時) (レス) id: d67f03efe8 (このIDを非表示/違反報告)
夢花(仮垢) - やばい…たるちもチカちょんもイケメソすぎるて。 (2018年7月1日 20時) (レス) id: 1ce7d18474 (このIDを非表示/違反報告)
にゃんこ(プロフ) - 千景さんかっこいい…頑張ってください!! (2018年6月14日 21時) (レス) id: dc516c7501 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:李人 | 作成日時:2018年5月12日 10時