【おそ松さん】違って【おそ松】

◎21◎ ページ23

ジリジリと夏の日差しが降り注ぎ、汗がタラリと流れる。



文武両道をモットーにしたこの学校では、高校にも関わらず、ガッツリ体育祭がある。



文化部の私としては、あんまり好んではいないけれど、皆で頑張って入賞はしたい。





…松野先輩は運動神経凄そうだから、活躍するのかな？





そこまで考えて、なんとなく恥ずかしくなる。



昨日は、目を冷ますと松野先輩に抱き締められている、なんてことがあった。



今は少しおちついたけれど、昨日の夜は全然眠れなくて。




だって、あんなことされたら…。



目覚めもなんだかとっても良くて、驚いた。




また抱き締めてほしい、なんて図々しいかな。





「Aー!頑張ってー!」





「…う、うん!」





そんな運動神経0をみかねてか、私は障害物競争に参加することになった。



初めての練習で、辺りを見渡すけれど、やたらと多い障害物。



「…うぅ、これ走りきれるかなぁ…」



おまけに体力0でもある私は、こっそりと呟く。





「位置についてー、よーいドーン」



本番まで節約、とかいう理由でピストルを使わないため、やる気のない男子生徒の声でスタートする。





バッ、と一斉に走りだす。



私は、とりあえずついていこう、と精一杯走る。





「Aー!!」



高校生というもの、意外とノリが良くて、皆が応援してくれる。





予行練習である今日は、全校生徒がわちゃわちゃと動きまわり、場所を気にせず走りまわっていた。





とってもにぎやかな校庭を横目に、コースを曲がると、そこには縄跳びが転がっていた。





私の前には、すでに飛んでいる人が一人二人…。





ちょっと焦って縄跳びを手に取り、ピョンピョンと飛びだした









ーその時



「ひゃっ」



ずしゃっと砂と膝がすり合う音と、皆の驚く声。





走り飛びなんて、私には高度な技だったな。



なんてなぜか冷静にぼんやり考える。





ぱっと状況理解が出来てくると、ジンジンと痛みを感じてくる。





「A!?大丈夫!?」





「ぅ、うん。大丈夫…っぃ!?」





若干の羞恥心もあり、無理矢理笑顔で友達に声をかけ、立とうとすると、ずきっと膝が痛む。





はっとそこをみると、結構な傷ができていて



「…いた…」





立たなきゃ、恥ずかしい、痛い、なんてグルグルと思考が混乱して、じわりと涙が出てきた。





どうしよう、どうしよう。





痛みを我慢してバッと立ち上がった





ーその瞬間

◎22◎　コメ返:久保枠さん→←◎20◎

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す