#5 ページ32
わたしとエマのやり取りを見ていたたけみっちが言う。
「直接言わないんですか？」
『…』
何を言い出すんだこの男は。
悪ノリするエマが言う。
「お。ほら、男は直接言って欲しいらしいよ？彼氏呼べば？」
『え、いや、無理、！』
そしてたけみっちがとんでもない事を言い出す。
「え、だって、Aさんの彼氏ってマイキー君ですよね？」
少しの間止まる時間。
『…え？』
「え？」
『え？』
「…え？」
『……違うけど？』
「……エ、エェェエェ！」
凄く驚いているたけみっち。
と、ヒナちゃんとたけみっちのお友達たち。
「だ、だって、手繋いだり頭撫でたり、さっきだって、だ、抱き合ってたじゃないですか！？」
「アレはただのマイキーのA不足。」
いやエマ。A不足ってなんだ。
激しく混乱しているたけみっちの隣でドラケンが呆れた顔をしている。
これはあれだ。
だから言ったじゃねぇか。みたいな顔だ。
『マイキーとは幼馴染だよ。小学校からずっと一緒なの。』
「そ、そうなんですか…え？じゃあ彼氏って？」
『千冬だよ。』
さっきからたけみっちがおもしろい。
今はおもいっきり「誰だよ！」って顔になってる。
「あれ？たけみっちに紹介してないの？」
エマに聞かれて思い返す。
言われてみれば紹介してなかったかもしれない。
『今度、紹介するね。』
「え？紹介？」
「Aの彼氏、東卍だから。」
「えぇ！？そ、そうなんですか…」
「そんな事より！Aは早く電話しなって！」
逸れた話題をエマが戻してくる。
『いや、だから電話は…』
メールなら…
と、携帯を開くがなんと打ったらいいか分からない。
『…』
再びうるさくなってくる心臓。
まったく動こうとしないわたしにエマが痺れを切らす。
「もー、ほんと世話が焼けるんだから！」
そう言ってわたしの手から携帯を奪ったエマは、さも自分の携帯かのようにボタンを押していく。
『ちょ、エマ、？』
「ほら！」
わたしの元へ戻って来た携帯の画面を見てみれば、既に千冬へ電話をかけている。
『……！？』
「もしも…」
ピッ！
びっくりしたわたしは思わず通話を切る。
……反射的に切ってしまった。
千冬の声が少し聞こえたのは気のせいではない…はず。
「もー、何で切っちゃうの？」
『いや、だって、』
エマとそんな会話をしていると震える携帯。
千冬からの着信だ。
『……』
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作者名：Tmwixx | 作成日時：2022年10月10日 9時
