#2 ページ24
『ちょ、ちょっとストップ！』
わたしの声なんか聞こえていない。
ヒートアップしていくふたりは互いの胸ぐらを掴み、今にも殴りかかりそうな雰囲気だ。
『…ッ、こんの！落ち着けっつってんの！！』
声を張り上げ、割って入ったわたしに少し驚いて言い合うのをやめるふたり。
「Aがキレた！」って笑ってるスマイリーはとりあえず無視だ。
『冷静になって。話し合いにならない。』
「話し合いなんて必要ねぇよ。パーは出す。」
『マイキー…』
「Aはどうなんだよ？」
そのままの勢いでそう問うマイキー。
それは、パーちんを釈放させる話？
それとも、稀咲を東卍に入れる話？
どっちでもいいか。
だってどっちも、
『賛成できない。』
はっきりとマイキーの目を見てそう告げた。
『ドラケンの言う通りだよ。パーちんは自首したの。パーちんの覚悟を無駄にしちゃいけない。』
「…」
『それに、』
「もういい。」
それに、パーちんを釈放させられるから稀咲は東卍に必要？
そんなバカな話があっていい訳ない。
って続けようとしたら、マイキーに遮られた。
その声は、今まで聞いた事のない冷たい声だった。
『もういい…ってなに？』
視線がぶつかったマイキーの目はとても暗くて、
少し、怖くなった。
そのままの目で、声で、マイキーは口を開く。
その光景がスローモーションに見えるのはなんでだろう。
「オマエはもう必要ねぇ。」
『…は、』
「最初から、入れなきゃ良かったんだ。」
『…』
マイキーは、なにを、言ってるの？
頭がまわらない。
圭介が、三ツ谷が、ドラケンが、
マイキーに何か言っているのが視界に入るけど
何も聞こえてこない。
ただ先程のマイキーの言葉だけが頭に響いて離れない。
“オマエはもう必要ねぇ”
“最初から、入れなきゃ良かったんだ”
『……ッ、』
泣くな。まだ泣くな。
わたしはマイキーをまっすぐ見て口を開く。
絶対に視線は逸らさない。
『東卍を抜ける。』
「…！A、待て、」
「…え？まじで？」
わたしの言葉に驚くみんなとは対照的に
マイキーは表情を変えることなく言った。
「好きにしろ。」
『…』
「…」
『…ッ、』
振り返ると同時に流れる涙に構わず走り出す。
とにかくこの場から去りたかった。
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作者名：Tmwixx | 作成日時：2022年10月10日 9時
