君と溺れて。【yt×hk】

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「山田ってほんと綺麗な顔してるよなぁ……」


大ちゃんはうっとり、と言った様子で通り過ぎる山田の横顔を見つめた。

大ちゃんの言う通り、山田はこの世の人とは思えないほど……と言うよりかは三次元にいなさそうな顔をしている。あまりにも整いすぎていて、入学式で初めて見かけた時は作り物じゃないかと疑ったものだ。

山田を見かけると、胸がドキドキして、顔が熱くなる。友達にも家族にも抱いたことの無い、不思議な感情が、僕の体を駆け巡る。


「……か……ひか」
「っ……ふぇ？」
「なーに間抜けな顔してるの？ぼーっとしちゃってさ」


大ちゃんに指摘されて、僕は急に恥ずかしくなった。火照っていた顔がより熱くなる。


「なんだよ、山田に恋でもしたのか？」


恋__。

大ちゃんは特に意識して言ったわけでは無いと思うが、僕が山田を見た時に感じる感覚は、言われてみれば恋をしたと言われる時の感覚に酷似しているのかもしれない。

うん、そうだよ。なんて言えない。自分でも信じられない。なによりそんなことを言って、僕から大ちゃんが離れて行くのが怖かった。


「……ひか？」
「んなわけ、」


僕が山田を好きなわけ、ないじゃん。


大ちゃんは僕の言葉が冗談の返しだと思い、そーだよなー、なんて笑いながら言うけれど、僕はこの瞬間、自分の気持ちに蓋をした気がした。刹那、僕の胸の奥がざわめいた。

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