検索窓
今日:2 hit、昨日:17 hit、合計:388,612 hit

過糖理想論 / fkrP ページ34

.
「お疲れ様です」

「あ、お疲れ様です福良くん。今日は動画? 記事?」

「今日は動画。でも十四時からだからまだ早いんだけどね」


 そうなんだ、何か手伝えることがあったら言ってね、なんて微笑んで、Aちゃんはキャラメルに手を伸ばした。


「それどうしたの?」

「キャラメル? 川上さんにもらったんだ。お土産だって」

「ふーん」


 僕にはないのに、Aちゃんにはお土産があるのか。……わかりやすすぎる、川上さん。
しかもちょっと有名なお店のやつだし。
Aちゃんは、一定を越えた好意に疎い。
それは昔からだ。日常生活に支障をきたすわけでもないし、別に良い。良いんだけど。


「Aちゃんは人と仲良くなるのが上手だよね」

「……うーん、そんなことないと思うけどなあ」

「そんなことあるよ。何だかこの間ライターになったばっかりなのに、もう皆と打ち解けてるし」


 ああしまった、こんな皮肉みたいな言い方するつもりはなかったのに。Aちゃんが気を悪くしていないか、そっと伺う。


「福良くん……もしかして、寂しいの?」


 なんてからかい半分に聞かれた。
俯いていた顔をパッと上げた彼女は、ニヤついている。てっきり傷ついたのだと思っていた僕は固まる。


「QKに新人って珍しいから構ってもらえてるだけだよ。男同士の友情は男女のそれより強固なんだから大丈夫だって。すぐ新人弄りにも飽きるよー」

「いや違うから!」


 とんでもない勘違いをしてくれたものだ。
Aちゃんのその言い方だと、僕はQKの面々に構ってもらえないから寂しく思ってるって?
冗談じゃない、勘弁してくれ。

 大体QKの皆とは今の距離感が丁度良い。
お互い深く干渉しないのも友情のあり方だ……と必死でAちゃんに説けば、ようやく理解してくれた。
でも少し残念そうに唇を尖らせている。もう、どういうつもりだよ。

.

2→←6



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (260 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
535人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

れのん - 短編集完結、お疲れ様です〜!!kwmrさんのお話もありがとうございました、とっても素敵でした…!!kwmrさんらしい優しさにドキドキしました…!!!長編も楽しみに待ってます!ありがとうございました!! (2018年10月16日 23時) (レス) id: 90e7c9629e (このIDを非表示/違反報告)
三星(プロフ) - れのんさん» こんばんは。コメントありがとうございます! 続きが遅れまして申し訳ないです。とても楽しいリクエスト、嬉しかったです。最後までお付き合い頂きありがとうございました! (2018年10月16日 22時) (レス) id: 49fd1affdc (このIDを非表示/違反報告)
れのん - 更新ありがとうございます〜〜!!現段階でもすごくドキドキします……!!続き待ってます!! (2018年10月12日 23時) (レス) id: 90e7c9629e (このIDを非表示/違反報告)
れのん - 三星さん» ありがとうございます!!いつまでも待つのでゆっくり更新なさってください。 (2018年10月10日 21時) (レス) id: 90e7c9629e (このIDを非表示/違反報告)
三星(プロフ) - れのんさん» れのんさんこんばんは。コメントありがとうございます〜〜。嬉しいお言葉、幸せです。kwmrさんのリクエストもありがとうございます。次回更新時に書きますのでお待ちいただけると嬉しいです。今後ともよろしくお願いします〜〜 (2018年10月10日 17時) (レス) id: 49fd1affdc (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:三津 | 作成日時:2018年9月14日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。