-Sugar High Ⅱ-【紅一点:YG】 (ページ27)

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午後の消失点‥‥【YG】ページ27

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時系列：本編"勝ち戦"以降
2021.8月頃(凡そ)

Aはそわそわと自室を歩き回っていた。これからユンギと外に出掛ける予定だった。今日はオフの日で、もともと何の予定もなかったのだが、昨晩声をかけられ急遽予定を入れられたのだ。あまりに唐突だったため何かの急な作業かと聞いたのだが、どうやら今日はユンギもオフとの事だった。つまり、お互いの休日に予定を合わせて出掛けるという状況になっている。

普段着で良いと念を押されたが、そういう訳にもいかずクローゼットの中で眠っていたワンピースを引っ張り出して久しぶりに着てみた。パフスリーブでロングドレスのようなそれは意外と身軽でお気に入りだった。しかし鏡に映してみたものの、我ながらあまり見慣れていないから似合っていないような気がして自信がない。ソファに座ったり立ったり、うろうろと落ち着き無く部屋を移動していると、ノックもそこそこにドアが勢いよく開いた。

「待たせた、早速行くか。」

『う、うん、でもどこに行くの？』

「それは着いてからのお楽しみ。」

昔のユンギの私服は体のラインが分かるようなスキニーや、全体的に色も黒ばかりだったイメージだが、最近は割とダボっとしたパンツや、色がある服を着ている気がする。今日は無地の白いTシャツにアイボリーのリネンシャツを羽織り、ダメージ加工を施したストレートレッグのデニムを合わせていた。久しぶりに見た外出用の装いに、Aは思わずじっと眺める。黒髪に上品な色がよく似合っていた。

行き先については昨日から聞いても答えてくれない。行ってからのお楽しみ、と笑うだけだ。

「その色、ワンピースも、似合うな。」
『そうかな？でも久しぶりに着たから違和感あるよ。』

　Aはそう言って目線を逸した。真っ白なワンピースだが、普段ずっと暗い色ばかり着ているせいで仮装をしているようにしか見えなかったのだ。だが似合うと言われれば悪い気はせず、少しだけ口元が緩む。

リビングで鉢合わせしたホソクに何処に行くのかと訪ねられたが、ユンギは笑顔で内緒だと答える。行き先を告げずに居るのがどこか楽しいのか、今日は妙に生き生きと見えた。

ユンギは既に会社への外出申請は済ませてくれていたようで、二人で連れ立って歩くと目立つかな、と言いながら自分の車の鍵を手に取る。普段からあまり人を乗せない彼の愛車、その助手席にいつも当たり前のようにエスコートされるのは、どこか特別に感じて胸が躍った。

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