長男の密偵物語‥‥【JN】 ページ31
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JN side
『ジンオッパ』
幾度となく聞いてきた僕を呼ぶAの声。顔を見なくとも声色だけで彼女の喜怒哀楽が分かってしまうのはユンギを筆頭に僕も負けていないと思う。
今日は何だか不服そうだな。結局どんなAでも可愛いんだけどさ、と自己完結したところでお腹に回された彼女の腕に自分の両手を重ねる。
「なに、胸でも当ててんの？」
毎度お馴染みのセリフと共に、背中にくっついた彼女をそのまま緩く左右に揺らしてやる。そうすると『違います！』と全力で否定しながらも離れないAに笑いながら、ほらソファに移動するよ、と今しがた準備していた二人分の飲み物を持ってリビングに向かった。勿論その間も背中のひっつき虫は健在中だ。
・・・
「どうしたんだよ。ムスッとしちゃって。またナムジュンに貸したもの返ってこなかったの？」
言っただろ〜あいつに貸すのはもうあげたって事と思わなくちゃ、と自分のコップに口をつける。
『そうじゃなくて、ユンギが‥』
「っ、ユンギが！？」
『わっ、びっくりした‥。そんなに驚くことですか？』
「いや‥で？ユンギがどうしたの。」
そりゃ驚きもするよ。今までAから色んな話を聞いてきたと自負する僕だけど、Aがユンギへの不平不満(まだ決まった訳ではないけど)を漏らすなんて年に一回あるかないか、なんだから。
前はパートの振り分けで口論になったとかで中々折れないユンギにAがどうしよう、と僕に泣きついてきた。どうせなら痴話喧嘩のようなものを期待していたのでガッカリしたっけな。ついに今日か？と身構えて彼女の話を聞く体勢に入る。
『ユンギが明日の私の撮影について来る、って聞かないんです。恥ずかしいから嫌なのに‥オッパからもユンギに言って欲しくて。』
そう僕の腕にしなだれる彼女。お前は本当に甘え上手で、それでいて無自覚だよね。まさか僕たちの目の届かないところでそんな事してないよな？とたまに不安になる。
「ああ、キービジュアルとか撮影するって言ってたやつね。」
グループとして就任したLVとは別の、予てから彼女自身も愛用しているという"
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作者名：mitsu | 作成日時：2021年7月19日 23時
