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程なくして、ジンヒョンが宿舎を出るのと入れ違いにやっと起きてきたユンギヒョン。開口一番に「Aは事務所か？」と聞くので、そうだよ、と答えると曖昧に返事をしたヒョンは白い顔を更に青白くしてソファに項垂れていた。
YG「全然寝た気しないわ‥」
「昨日遅かったんですか？」
YG「いや、なんか寝つき悪くて‥浅い眠り繰り返してた。」
手のひらで両目を押さえて「あ゙ーー、」と上を向くユンギヒョンの声にビックリしたのか、マチカが俺の膝から飛び降りてソファの陰に隠れてしまう。
「あ、そっち行っちゃった、」
YG「‥そうか、マチカ来てたんだよな。」
「ヒョンの近くにいるから呼んであげてよ。」
悪かった、おいで、と疲労を滲ませながらもマチカに手招きするヒョンはとても甘い笑顔をしていて笑ってしまう。だってその蕩けそうな表情はいつもヌナに向けているものと一緒だから。でも肝心のマチカはというと、そんなヒョンの顔と差し出した手を交互にジッと見つめた後、俺の膝上に戻ってきた。これはほぼ役得と言える。
YG「何でテヒョンなんだよ‥」
「でもジンヒョンと居てる時の俺は空気でしたよ。」
さっきまでの事を話すと「ジンヒョンはまたたびでも仕込んでんだよ、多分。」と子供みたいに拗ねてソファに寝転がってしまった。A帰ってきたら起こして、とだけ付け加えて。
・・・
「‥ユンギヒョンのとこ行きたいんじゃないの？」
暫くしてヒョンが小さな寝息を立て始めると、未だ俺の膝上にいるマチカは落ち着かない様子。気になるんでしょ、だってお前、ユンギヒョンのこと本当は大好きだもんね。ジンヒョンの時とは違い、何故かユンギヒョンを前にすると照れるのか、素直に甘えることが出来ない彼女。でも知ってるんだよ、それはヒョンが起きてる時だけの話だってこと。
「ほら、行きな。」と背中をポンポンしてやると一瞬戸惑った素振りを見せるも、"ナァ"と鳴いた彼女はピョンと俺の膝から下りてヒョンの元へ向かう。そして無造作に投げ出されたヒョンの手、指先を小さな舌で舐めた後、またソファに飛び乗るとヒョンの脇腹あたりに顔を埋めて丸まった。
そう、ジンヒョンも知っていた"面白いもの"とはこのことで、俺はこれが見たかったんだ。すぐさまこの貴重な瞬間を写真に収めるべくスマホを取り出す。
これでこの場にヌナがいれば完璧なのにな。ジンヒョンの前では可愛く拗ねるヌナ、ユンギヒョンの場合だとどうなるんだろう。
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作者名：mitsu | 作成日時：2021年7月19日 23時
