東海の彼らと

commit a folly 　橙 ページ23

『…ねえ、好き』

声に出して言うのは何回目だろう。

相手は出会って半年ほどたつセフレだ。

なんて愚かなんだろうと思う、体の関係の相手に恋愛感情を抱き、それを伝えてしまっているなんて。

「俺もAが好きだよ」

こんな風に返事が返ってくるから、嫌いになりたくったってなれない。
ラインでも、会ってる時でも、常に口先だけの愛を伝えてくる。

『ねえ、てつやは私とどうなりたいの？』

「結婚」

こんなこと言われていたらほかの男の行こうとも思えなくって出会ってからてつやにしか会っていない。

体の関係を続けておいて、わがままな女になるつもりなんてないと言っても説得力なんてないかもしれないけれど、
グレーが嫌いな私は今日でこの関係をはっきりさせないのならもうずっと会わないほうがいい、と思ってそれを伝えようと考えてもう３時間が経つ。

一人でいるときはあんなに何を言おうとか考えていたのに、いざ彼を目の前にするといえないんだ。
かっこ悪い女だ。

『ねえ、てつや』

「ん〜？」

『今日でこういうの終わりにしない？』

少し驚いた顔でこっちを見てくる

「俺のこと嫌いになったん？」

『ううん、そうじゃなくって。なんか、この関係に疲れちゃった。
はじめはセックスをする関係だと思ってたけど、普通に出かけたり、ご飯食べに行ったり、お泊りしたって私が気分じゃなかったら強要してこないし…なんか、関係をちゃんとしないんだったらもう会わないほうがいいなって』

『私はてつやのことを独り占めしたいよ、誰かにとられちゃうのいやだな、って思ったから伝えたよ』

「…うん」

少し話辛そうに口をひらいた

「Aのことは好きなの。ほんとに」

「まあ…元○○○がね、忘れられなくって。死ぬほど引きずってるの。俺今。Aに言ってなかったと思うんだけど、二人で住む準備もしてて、お互いの親にも会ってて。」

ーーー結婚するならこの人なんだなって、思ってたの

想像していたよりも内容のある話で失礼だけど少し驚いていた。

「あと、ちょっとお金貸してて…」

『お金、か』

「別れてから連絡は取ってないの、ほんとに。でも、たまたますれ違ったりする事がね、何回かあって、やっぱり視界に入るとさ、忘れられなくて。未練たらたらなんだ。だから、Aとのことをちゃんとする事ができなかった。次付き合ったら結婚したいし、Aのことは好き。一緒にいて楽しいし、すごい素の俺でいれるの。」

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