29.派手 ページ29
「…………」
『っ！流石にお風呂は一人でお願いします』
「……では、なるべく早く。妙な真似は起こさぬように」
『別に手首切って死んだりはしませんよ』
あっという間に一糸纏わぬ姿にされた私は、お風呂場へと放り出される形で出された。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿
久しぶりのお風呂はなかなかに気持ちが良かった。まぁこの状況じゃなければもっとゆっくり浸かりたかった。
そもそも私はいつから風呂に入ってな………いや、考えるのは止めよう。怖くなった。
一通り洗い出ると既に女性たちがタオル片手に待ち構えていた。身体を隅々まで拭かれ、髪も乾かされた。一粒の水滴さえ見逃さない勢い。私はただされるがまま。乾燥機に入れられた服の気持ちになった。
それから真っ赤なドレスを着せられ、靴もはかされ、髪もセットされ、化粧もされた。
『……………わーお』
鏡を見るとそこには良いところのお嬢様みたいな私が居た。
質の良い生地に高そうな装飾品。…私から見た私は、それらを着せられているようにしか見えなかった。けれど女の人ら二人は私を見て、ここ数時間で一番良い表情をしていた。
「…これなら問題ない」
『はぁ』
「ええ、早速主人様に見せなければ」
「……本当、同じ女性とは思えないわ」
『そう、言われましても』
二十歳そこらな私が結婚してる訳もなく、私にとってこんなまともなドレスは初めてだ。
動きずらくてたまらない。コルセットが痛い。それに、頭の装飾品が重い。
試しに歩いてみるがなんだかおぼつかない。ドレス重。
「主人様。終わりました」
「ああ、長かった…な…！」
男が私を見るとその目を見開いた。
「…どうでしょうか」
「……ああ、良い出来だな。お前らの家族は解放してやる」
「！っあ、ありがとうございます！！」
…家族…？
言葉に疑問を覚える。…女の人らは泣いて喜んでいた。
『……………』
…なるほど。この女性二人は無理やり連れてこられたのか。家族を人質にされて。
「…さぁ、行きましょうか姫」
『…………』
「姫？」
『…いやなんでも』
この船には商品だけでなく、この女性のような者もたくさん居るんだろう。…ここに来るまでにも使用人のような一般人は見かけた。
…どうせ逃げるなら派手なのもいいかもな…。それこそこの真っ赤なドレスのように。
なんて、目の前の男の背中を見て考えながら私は歩く。
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キヨラ - これからもがんばってください。 (2018年10月23日 18時) (
レス) id: 6e365f857a (このIDを非表示/違反報告)
Justice RPG(プロフ) - 花菜さん» そう言って頂けると嬉しいです！続編まで行きました！引き続きお楽しみ下さい。 (2018年3月27日 18時) (レス) id: 14e35c6c6f (このIDを非表示/違反報告)
Justice RPG(プロフ) - sataroさん» 励みのお言葉ありがとうございます！続編まで行ったのでお楽しみ頂ければ幸いです。 (2018年3月27日 18時) (レス) id: 14e35c6c6f (このIDを非表示/違反報告)
花菜(プロフ) - すごく面白くてとても続きが気になります！！更新がんばってください！(*´∀｀*) (2018年3月21日 14時) (レス) id: b7876a4134 (このIDを非表示/違反報告)
sataro - 凄く読みやすく面白いので続きがまだかまだかと気になります笑更新応援しています！ (2018年3月15日 16時) (レス) id: 4a264aed23 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Justice RPG
| 作成日時：2018年1月7日 2時
