19.その理由は ページ19
『…はぁ、負けちゃったなー』
「……質問。忘れてないよね」
『はいはい。別に誤魔化したりはしないさ。…さぁ、ヒソカは私に何を聞きたいんだい?』
頭から手を離し、私が目を合わせるようにするとヒソカも合わせてきた。
……どうやら聞くことはもう決まっているらしい。
「…キミはどうして逃げないんだい?」
ヒソカの言葉を聞いて、思わず目を丸くしてしまった。
『逃げない?……逃げないもなにも、逃げられる状況でもないと思うんだけど』
「本当はいつでも逃げられるんだろう?」
探るような、けれど少しの確信を含んだ声で問われる。
…まさか、そんな質問が来るとは思ってなかった。全くもって予想外。
けれど、それを言うなら私だけじゃない。
『それは君もだろう』
「……聞いてるのはこっちだよ」
明らかに嫌な顔をされた。
質問を返したことに、というよりかは触れられたくなかったみたいだ。
…やはり、何かしらの理由があるのか。
ヒソカはあの男が嫌いだ。そしてあの男もヒソカを嫌っている。それなのにあの男はヒソカを雇い、ヒソカも大人しく雇われている。…このことがずっと疑問だったのだ。
実は罰ゲームを質問にした根底もここにある。…まぁ、結局私は聞いてないのだが。
この反応を見るに聞かなくて正解だったな。踏み込んだ答えを無理やり聞くのは良い気がしない。
『そう。そうだね。確かに逃げられるのかもしれない』
「じゃあなんで」
『そうだな…』
念…あの鎖を自由に出すことが出来るようになった今、本当に逃げるのは難しくない。
鎖を使えば食事を置きに来た男を鉄格子の中からでも拘束できる。そしたら鍵が手に入るだろう。
…というか、そもそも鉄格子自体鎖でどうにかなってしまうかもしれない。鎖は感覚こそ自分の腕だが、力は桁違いだ。
ここから出たあとも難しくないだろう。この船に私以外の念能力者が居る可能性も0じゃないが、ヒソカの様子を見る限りは居なさそうだ。勿論、油断は出来ないが……たとえ居たとしても恐れることはない。私はもう、人を殺すことが出来るのだから。
…なら、私はどうしてここに留まっているのだろう。
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キヨラ - これからもがんばってください。 (2018年10月23日 18時) (レス) id: 6e365f857a (このIDを非表示/違反報告)
Justice RPG(プロフ) - 花菜さん» そう言って頂けると嬉しいです!続編まで行きました!引き続きお楽しみ下さい。 (2018年3月27日 18時) (レス) id: 14e35c6c6f (このIDを非表示/違反報告)
Justice RPG(プロフ) - sataroさん» 励みのお言葉ありがとうございます!続編まで行ったのでお楽しみ頂ければ幸いです。 (2018年3月27日 18時) (レス) id: 14e35c6c6f (このIDを非表示/違反報告)
花菜(プロフ) - すごく面白くてとても続きが気になります!!更新がんばってください!(*´∀`*) (2018年3月21日 14時) (レス) id: b7876a4134 (このIDを非表示/違反報告)
sataro - 凄く読みやすく面白いので続きがまだかまだかと気になります笑更新応援しています! (2018年3月15日 16時) (レス) id: 4a264aed23 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Justice RPG | 作成日時:2018年1月7日 2時