168._彼のために ページ22
『……レオリオ』
「ん?なんだ」
『君は本当に優しいね』
ハンター試験からずっと変わらない。……確かにレオリオは聞かない方がいいかもしれない。彼ならクラピカの為に怒るだろうから。
「……お、おぅ…」
私の言葉にレオリオはみるみる顔を赤く染めた。年らしい反応に微笑ましくなった
ゼパイルとレオリオの気配が廊下から遠ざかる。…そこまで真面目でなくてもいいのに。ふ、と笑ってから口元を戻す。
『さて、これでやっと話が出来る』
二人は息を飲む。そしてこちらの言葉に耳を立てる。一言も聞き逃さないように。
『旅団と私の関係、だったね』
私は息を吸い、二人を見据える。
『的確に言葉で表現するのは少し、難しい。…だから例えるなら』
私はキルアを見る。
『私にとって彼らはキルアに等しい』
「!…」
『家族のような、友達のような、でも違う。けれどかけがえのない存在』
生きる意味。鎖の結ぶ先。
キルアとゴンは目を開く。…特にキルア。キルアは私と旅団の関係をどう予想していたのだろう。その表情は予想外だったようだ。
『だから君たちと"彼ら"が争うのは避けたい。どちらにも傷ついてほしくない。…彼らの強さは二人も身をもって知ったと思うけど、強いよ。捕まえることはできない』
これで二人が身を引いてくれるならいい。…しかし、そうでないのなら
「……そっか。やっぱりAは旅団にとって大切な人だったんだね」
答えたのはゴン。…やっぱり?私は疑問を浮かべる。
「捕まってるあいだオレ、ノブナガに聞いたんだ」
__ねぇAとはどんな関係なの?
少しでも気がそらせないかなって思ったんだ、とゴンは言う。
「そしたら…」
__……知りたいなら本人に聞けよ。
「…それって、聞いたら答えてくれるって分かってたってことでしょ。実際、Aはこうやって答えてくれた」
…ノブナガがそんなことを。……もう少し優しく殴ればよかった。
「相手の行動が分かるのって、それくらいAを知ってるからなんだろうなって」
『………』
ゴンは鋭く、勘がいい。そして、何より自分で物事を考える。一般の指標ではなくて。旅団はA級首の指名手配犯。立派な悪だ。けれどゴンはそこに感して敵意や嫌悪といった感情を抱かない。キルアの方がまだその意識がある。
「……始めから知ってたのかよ」
黙っていたキルアが声を絞り出す。私はキルアに目を向ける。俯いているキルアの感情を想像して、拳に力が入った。
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JRPG(プロフ) - コメントありがとうございます。とてつもなく間が空いた気がするのは気のせいではありませんでした。ただ凍結することはないので連載再開までに終わるかどうかですね。 (2021年10月16日 20時) (レス) id: 1f8a9e8183 (このIDを非表示/違反報告)
レネット(プロフ) - 更新待ってます (2021年10月4日 0時) (レス) id: ec8ec8961f (このIDを非表示/違反報告)
うさぎ - 好きです!! (2021年8月12日 1時) (レス) id: 87c9802a04 (このIDを非表示/違反報告)
かるー(プロフ) - 大好きです、、、、! (2021年7月26日 13時) (レス) id: 23539fd70e (このIDを非表示/違反報告)
めありー(プロフ) - コメント失礼します。ずっと前から大大大大大好きです!!!!応援してます!!先の展開が楽しみで仕方ありません!! (2021年6月15日 23時) (レス) id: 3db33b5493 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:JRPG | 作成日時:2021年6月12日 19時