157._命拾い ページ11
それでも聞いてこないのは…私がちゃんと仕事をこなせているから。ゾルディック家に従っているからだ。
「A」
『本当、派手にやられてるね。二人が相手なら仕方もないけど』
クロロに近づいて手を差し出す。クロロは私の手をとって立ち上がった。
「…お互い命拾いしたのォ」
ゼノさんがその光景をなんとも言えない顔で見ながら言う。
「殺らなくていいの?」
「ワシらの依頼人は十老頭…その依頼人が死んでしまった以上、おぬしはもうターゲットではないのでな」
やはり予想は正しい。…十老頭が死んだ…ということはクロロが何か手を回していたのだろう。それ以外に十老頭をこのタイミングで殺そうとするやつなんていないだろうから。他の団員が向かったか…信頼性のある殺し屋にでも頼んだか。
「そう?意外だな。もうないよ、こんなチャンス」
「おぬしワシらを快楽殺人者とカンちがいしとらんか?」
クロロはゼノさんに軽く聞きながら服を払う。…本当にボロボロだな。ワイシャツの見る影もない。目立った怪我は頬くらいか。左頬が切れて血が出ていた。親指で拭えばクロロの眼が細められる。…傷口はもう塞がってるな。
「好きでやっとるわけじゃなし。ワシゃタダ働きもタダ死にもまっぴらじゃわい」
イルミやカルトは殺しを楽しむ傾向にあるが、ゼノさんやシルバさんは殺しは仕事と捉えていた。…となると2人の性質は教育によるものではないのか。
私も殺し=仕事という考えなのでゼノさんの話には同感する。なにより私の師匠だからな。
「1つ聞いていいかい?」
クロロがゼノさんに尋ねる。
「サシで闘ったらオレとあんた、どっちが勝つ?」
「………ふん。そりゃ十中八九ワシじゃろ。おぬしが本気でワシを殺ろうと思えば話は別だがな。全くなめたガキじゃ」
ゼノさんたち相手に本気を出さないで戦ってたのか。……結果無事だからいいものの。
「ワシらはもう行く。後で家に顔を出すといい。カルトが寂しがっとるぞ」
『え!本当ですか。後で伺います』
確かにここのところあまり会えていない。執事さんとの練習試合が月1になってから会ってもほんの数時間。仕事の報告ついでに顔を出すようにはしているが、カルトにもやることはある。
ゼノさんが背中を向けるとシルバさんもその後に続いた。
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JRPG(プロフ) - コメントありがとうございます。とてつもなく間が空いた気がするのは気のせいではありませんでした。ただ凍結することはないので連載再開までに終わるかどうかですね。 (2021年10月16日 20時) (レス) id: 1f8a9e8183 (このIDを非表示/違反報告)
レネット(プロフ) - 更新待ってます (2021年10月4日 0時) (レス) id: ec8ec8961f (このIDを非表示/違反報告)
うさぎ - 好きです!! (2021年8月12日 1時) (レス) id: 87c9802a04 (このIDを非表示/違反報告)
かるー(プロフ) - 大好きです、、、、! (2021年7月26日 13時) (レス) id: 23539fd70e (このIDを非表示/違反報告)
めありー(プロフ) - コメント失礼します。ずっと前から大大大大大好きです!!!!応援してます!!先の展開が楽しみで仕方ありません!! (2021年6月15日 23時) (レス) id: 3db33b5493 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:JRPG | 作成日時:2021年6月12日 19時