碧は染まった2【H×H】

99._運がない ページ50

『……予定だと商品を盗んだついでにそのままアジトまで案内してもらおうかと思ってたんだけど…こんな事態だ。私はホテルに戻るよ。アジトに行くにしても着替えないといけないから』
「それがいい。アタシらのことはマフィアの連中にも気づかれるだろうし、追われればAの顔が割れる」

マチの言葉に私は頷く。

『…マフィアを敵に回すのは少し困るな』

そもそもマフィアはもう十分敵に回している。死神事件の被害者は闇オークションに参加するくらいなので黒い人間ばかり。一般参加者よりもマフィア関係者の方が多い。目撃者はいないはずだが今までに数度被害者が目の前に現れている時点で、私の情報は漏れていると考えていい。

街を歩いてる感じでは問題ないがマフィアとご対面は御免被りたい。

「終わたよ」

扉が開いて、閉じる音。フェイタンの尋問が終わったらしい。……重い扉からして防音の部屋だったのかもしれない。ここで話していても何も聞こえなかった。……扉の奥を想像して、運がないな、と不憫に思った。

「何か聞けたか」

フランクリンの言葉にフェイタンは首を横に振る。

「ノブナガが聞いたのと同じ。嘘はついてないね」
「そうか…」
「とりあえず、移動しながら団長に連絡したほうがいいんじゃない？」
「そうだね」
『なら一旦ここでお別れだね』

皆の方針が纏まったところで私は退散することにする。

「帰るのか？」
『うん。落ち着いたらそっちに行くよ。あ、ジャケット返そうか？』

クロロには会わないし、と思って聞けばフェイタンの眉間に皺が寄った。

「…聞く必要あるか」
『はは。ありがとう。借りていくよ』

本当に機嫌がいいんだな。その答えはデレだ。…そんなに私に勝ったことが嬉しいのかと思ってしまう。…うんうん、フェイタンは可愛いな。

「その時になったら連絡するよ」
『わかった』

シャルナークの言葉に頷き、私は競売場を後にした。

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