肆拾七 ページ47
…度々聞こえる"柱"という言葉。以前Aさんは自分のことを"影柱"と名乗っていた。階級…称号のようなものなのかもしれない。
考えていると片方の鬼がこちらに振り返った。
……っ!
人とは違う、獣に近い瞳と目があって息が止まった。…忘れていた感覚がよみがえる。それもさっきより明らかに距離が近い。鬼の速さは今、目の前で見たばかりだ。
"喰われる"
そんな感情が湧いてくる。女性の腕を思い出した。
"逃げろ"
ピクリ、と指が反応し足が後ろへと動き出す。
『どこを見ている』
…………、ぁ。
_君に傷はつかない。何故なら私が護るから。だから安心してここにいて。
鬼の首がぽとり、と落ちた。血飛沫が舞う。その奥でAさんの瞳が暗闇に浮いていた。
……そうだ。オレがここを動いたら意味がない。Aさんは"ここにいて"と言った。オレはAさんを信用しているんじゃなかったのか。
あのときのAさんの声と熱を思い出す。
『…来ないならこちらから行く』
「っ!!くそがァア!!」
鬼はこの追い詰められた状況で自分を奮い立たせるように叫ぶ。そして…
『漆桶 黒一閃』
「………!」
鬼の首が斬れた。それから地面に落ちる。数秒遅れて体が倒れた。
「………」
多分Aさんが斬った。
多分…というのは、"やっぱり"どうして首が落ちたのか分からなかったから。目は反らしてない。瞬きもしなかった。それなのに気づいた時には鬼の首が斬れ、Aさんの持つ黒い刀には血が滴っていた。…黒?前見たときは灰色の刀身だった。
真っ黒な刀は闇の中に溶け込んでいるように見えた。その切っ先がどこにあるか見失いそうになる。
Aさんは首を斬った鬼と何か話してから背を向ける。
背後でぱらぱらと鬼が崩れて、跡形もなく消えた。
『さて。あとはお前だけだ、愚闇』
この暗闇の中に形なんて何一つない。それなのにAさんは迷いなく問いかける。
『…お前がその気なら一向に構わないが』
Aさんは言うと、壁に向かって走り出す。
「……は、……Aさん!?」
流石の行動に思わず声をかける。…そういえば戦闘に入ってから初めて声を出した。
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ゆら - とても続きが気になる物語だったので、時間があるときに更新よろしくお願いします。頑張ってください! (2020年6月21日 12時) (レス) id: a43add877a (このIDを非表示/違反報告)
ユナナ(プロフ) - こんにちは!"浮世離れの今日"を見させていただきました!好きな漫画がコラボで出てきている…もう喜びを超えた嬉しさです笑 後の展開がとても気になります!技の名前も高クオリティで普通に鬼滅の刃にで出来そうです笑 また続きをお待ちしています笑 (2020年1月8日 11時) (レス) id: 0bea8b4a9d (このIDを非表示/違反報告)
JRPG(プロフ) - 作者です。更新しました。楽しみにしてくださっていた方遅くなりすみません…。沢山のコメントありがとうございます。全部読んでます。引き続きお楽しみ頂けたら幸いです。 (2019年10月31日 9時) (レス) id: 0e0a111648 (このIDを非表示/違反報告)
綺咲裕翔 - めちゃくちゃ面白いです!!続きが気になるー!楽しみにしてます!頑張ってください! (2019年10月27日 10時) (レス) id: 93b6603b06 (このIDを非表示/違反報告)
南無阿弥陀仏(プロフ) - 続き待ってます (2019年10月24日 14時) (レス) id: 1cf60bec73 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Justice RPG | 作成日時:2018年9月15日 21時