検索窓
今日:25 hit、昨日:85 hit、合計:597,794 hit

肆拾 ページ40

『……離してください』
「どういう状況なのかは分かりませんが……コナンくんを見る限り、あまり良い状況では無いようですね」
『ええ、そうです、だから離してください』
「貴女が一人で何かしようとしているこの状況が、ですよ」
『!』

何を言っている、そう言おうとして口を閉じる。…振り返った先の少年の顔は、あまりにも悲痛で、なにより…私に懇願するような瞳を向けていた。

『…………』

影が見えるのは…こういう時に厄介だ。

「貴女の言い分では"こちらまで移動することは不可能に近い"のでしょう?」
『………』
「一度落ち着いて、考えることを推奨しますよ」
『…………』

腰に添えた手を下ろす。

「…A、さん」
『………すまない。君にそういう顔をさせる気はなかった。…それに冷静さが欠けていたのも事実だ。……だが、どちらにせよこのままというわけにはいかない』

深呼吸をし、自身を落ち着かせる。……確かに、この場で戦闘になったら民間を巻き込む可能性があった。この道には人が多い。路地でやりあっている最中に人が来ないとは限らない。そうなれば結局、さっきと同じだ。

だが、このまま鬼を放っておくのは本末転倒。

どうすればいい…。路地は私たちが居る方とは反対側だ。自然と光が壁を作っている。日が暮れない限り、急な大雲が来ない限り、こちらへは接触できない。同時に、火の元を歩く大勢の人々への接触も不可。路地へ曲がる民間にだけ注意を払えば、危険はない。

この距離なら、鬼の動向を監視できる。

「…とりあえず目暮警部に」
『駄目だ』
「!…でも!!」
『言っただろう彼らは弱いと。私はその言葉まで訂正した覚えはない。……まだ、彼らが藤の花を持っているのなら別だった。路地の出入り口に立ってもらえれば奴にとって牢へと変わる。だが、ついさっきの今では丸腰の民間でしかない。無駄死にするだけだ』

……それに、藤の花を持っていたとしても……出来るだけ関わっては欲しくない。

「っ……!」

私の言っていることは正論だ。経験値が違うのだから説得力がある。…だからこそやるせないのだろう。少年は歯を食い縛り、拳を握る。

「藤の花なら今お店にありますよ」

……え、?

肆拾壱→←参拾九



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (576 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1017人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ゆら - とても続きが気になる物語だったので、時間があるときに更新よろしくお願いします。頑張ってください! (2020年6月21日 12時) (レス) id: a43add877a (このIDを非表示/違反報告)
ユナナ(プロフ) - こんにちは!"浮世離れの今日"を見させていただきました!好きな漫画がコラボで出てきている…もう喜びを超えた嬉しさです笑 後の展開がとても気になります!技の名前も高クオリティで普通に鬼滅の刃にで出来そうです笑 また続きをお待ちしています笑 (2020年1月8日 11時) (レス) id: 0bea8b4a9d (このIDを非表示/違反報告)
JRPG(プロフ) - 作者です。更新しました。楽しみにしてくださっていた方遅くなりすみません…。沢山のコメントありがとうございます。全部読んでます。引き続きお楽しみ頂けたら幸いです。 (2019年10月31日 9時) (レス) id: 0e0a111648 (このIDを非表示/違反報告)
綺咲裕翔 - めちゃくちゃ面白いです!!続きが気になるー!楽しみにしてます!頑張ってください! (2019年10月27日 10時) (レス) id: 93b6603b06 (このIDを非表示/違反報告)
南無阿弥陀仏(プロフ) - 続き待ってます (2019年10月24日 14時) (レス) id: 1cf60bec73 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:Justice RPG | 作成日時:2018年9月15日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。