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参拾 ページ30

「僕からも…。彼女は犯人ではないですよ。それは僕たちが証明できます。…むしろ、彼女は味方だ」

話している間にAさんは腕の所まで歩く。そして。

「!!ちょっと君!?」

腕を拾った。それから何かを確かめるようにする。

『……うん。脱け殻だ』
「…脱け殻って?」

尋ねるとAさんの目が自分に向いた。

『これは本体じゃない。本体が作った人形のようなもの…。脱け殻なら触っても大丈夫ですよ』

彼女は腕を地に戻し立ち上がる。脱け殻…本体じゃない…。

「ねぇ…もし本物だったらどうなってたの」

Aさんはまたしゃがみこみ今度は辺りに散らばる内臓のようなものを触り始める。数人の警察が口を押さえた。

『あ、そうか……これは言ってなかった。鬼を倒すには日輪刀でなければいけないのは伝えたよね』
「うん。それか日光、でしょ」
『そう。…ただ日輪刀でもね、心臓とか頭を刺したからって鬼は死ぬわけじゃない』

Aさんの足元にはいつの間にか散らばっていたものが集まっていた。辺りは綺麗になっていた。

『鬼はどこを斬っても基本直ぐに回復してしまう。それも一瞬で。…でも一つだけ再生しない箇所がある。それが、首』

Aさんは自分の首を指差す。

『首を斬らない限り鬼は死なない。……まぁ、斬ったあとも直ぐには死なないんだけど。…だからこの腕が本物だったなら、ただの腕だと油断させて近寄ってきた人間を襲うことも出来てしまうんだ。腕だけで襲うかもしれないし、腕から体全体を再生させるかもしれない。鬼の力は、人間の身体をいとも簡単に千切ってしまう』

Aさんの言葉にその場にいた全員が息を飲んだ。偽物…脱け殻だったから良かった。もし本物だったなら……考えただけで背筋が凍った。

「………君は、一体…」

目暮警部が呟くように言う。声も少し掠れていた。彼女は立ち上がって警部を見る。

『私は…』

Aさんは言おうとしてまたしゃがんだ。そして腕と、かき集めた内臓類を器用に持ち日の当たる方へと歩いていく。

そして日光の元へと出るとこちらに振り返った。

「な……!?」

その光景に全員が釘付けになる。

彼女の持っていた腕や内臓の類いがボロボロと崩れ、砂のように散っていく。…数秒もしないで、彼女の手からはなにも無くなった。

『鬼殺隊影柱、AA。私は、鬼を狩る者』

彼女は凛とした声で、そう言った。

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ゆら - とても続きが気になる物語だったので、時間があるときに更新よろしくお願いします。頑張ってください! (2020年6月21日 12時) (レス) id: a43add877a (このIDを非表示/違反報告)
ユナナ(プロフ) - こんにちは!"浮世離れの今日"を見させていただきました!好きな漫画がコラボで出てきている…もう喜びを超えた嬉しさです笑 後の展開がとても気になります!技の名前も高クオリティで普通に鬼滅の刃にで出来そうです笑 また続きをお待ちしています笑 (2020年1月8日 11時) (レス) id: 0bea8b4a9d (このIDを非表示/違反報告)
JRPG(プロフ) - 作者です。更新しました。楽しみにしてくださっていた方遅くなりすみません…。沢山のコメントありがとうございます。全部読んでます。引き続きお楽しみ頂けたら幸いです。 (2019年10月31日 9時) (レス) id: 0e0a111648 (このIDを非表示/違反報告)
綺咲裕翔 - めちゃくちゃ面白いです!!続きが気になるー!楽しみにしてます!頑張ってください! (2019年10月27日 10時) (レス) id: 93b6603b06 (このIDを非表示/違反報告)
南無阿弥陀仏(プロフ) - 続き待ってます (2019年10月24日 14時) (レス) id: 1cf60bec73 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Justice RPG | 作成日時:2018年9月15日 21時

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