76.怖いもの ページ26
「Aっ!」
私を見ると扉から一直線に走ってくるマチとパクノダ。
マチに関しては毎日の恒例行事だが、パクノダもとは珍しい。
疑問に思いながらも腕をいつもより広げ、その衝撃に備える。
『?』
しかし、衝撃は来なかった。というのも、二人が私の目の前で止まったからだ。
二人は顔を伏せたままでこちらを見ない。そのお陰で二人の感情が読み取れない。
二人は今怒っているのか、笑っているのか、泣いているのか…。
『…マチ?パク?どうしたの?』
探る意味でも目線を彼女らに合わせ、なるべく優しく声をかけ頭を撫でる。
撫でた瞬間、二人の体がびくりと跳ねたのが分かった。
「…A…」
『ん?』
「…Aっ」
『…そんなに呼ばなくとも私はここだよ?』
「っ!!」
その言葉が引き金だったのか、二人は私に勢い良く抱きついた。備えていなかったために少しふらつくがなんとか抑える。
『!…………よーしよし』
二人は泣いていた。私に顔を押し付けすがるように私の服を掴んでいた。
驚きながらも安心させる為に撫でた背中からは震えが伝わってくる。
…まるで怖いものでも見たような感じだな。
『…二人ともどうしたの、急に驚いたよ』
「……」
横の男子二人に関しては間抜けにも口を開けている。
『それに、君たちも』
ゆっくりとした足取りで来た残りの二人、フィンクスとフランクリンに声をかける。
今は女の子二人に何があったかを聞ける状態じゃない。なら残りの二人に聞くしかない。二人は一応冷静さを欠いている訳ではなさそうだし。
『一体何があった?』
聞くが、二人は答えない。…言えない、言いたくない…そんな風にも取れた。
喧嘩したのか、とも思ったがそうではない感じだ。外で何かあったのか?
『…言いたくない程の事があったのならそれを無理に強制するのは好きじゃない。けれど…だとしたら君たちがここに来た理由はなに?君たちは私に何か求めてここに来た…違うかな』
「っごめ、ごめんなさ」
『あ、いや怒った訳じゃなくて…』
「クロロ、が…」
『え?』
震える声でパクノダが吐いた言葉は"クロロ"。
少年?…少年は今ここには居ないな。加えてフェイタンも居ない。
「っ、ごめんなさい」
『…パクノダ。私は何も怒っていないし怒らないよ。だから、落ち着いて。ゆっくりでいい』
続きは気になるが捲し立てる訳にもいかない。背中を撫で、頭を撫で落ち着かせる。
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るみ - ハンターハンターにハマって、一作目にこれを見て良かったです(*^^*) (2019年1月26日 0時) (レス) id: 07b463bee0 (このIDを非表示/違反報告)
Justice RPG(プロフ) - クラピカさん» コメントありがとうございます!第二章出来ました!!引き続きお楽しみください! (2018年1月7日 3時) (レス) id: cd2849aff7 (このIDを非表示/違反報告)
Justice RPG(プロフ) - みるのさん» コメントありがとうございます!続編出来ました!!これからも楽しんで頂ければ幸いです! (2018年1月7日 3時) (レス) id: cd2849aff7 (このIDを非表示/違反報告)
Justice RPG(プロフ) - 雪女さん» コメントありがとうございます!応援とても嬉しいです!続編を作成したのでお楽しみください! (2018年1月7日 3時) (レス) id: cd2849aff7 (このIDを非表示/違反報告)
クラピカ - 第2章楽しみすぎるー! (2018年1月3日 6時) (レス) id: 423cdf7227 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Justice RPG | 作成日時:2017年11月8日 20時