こたしげ物語２

・ ページ16

桃「俺が怪我して良かったやん」

赤「な、に、言ってるん……っ」

桃「やってそうやろ。俺が無傷やったら、しげが怪我してたんやで？」

あんなでかい機材、一人で受けてたらどうなってたことか。

桃「俺がしたくてしたこと。お前はなんも責任感じんくてええねん」

赤「で、も……っ」

桃「でもやない。もう泣かんでほんま」

赤「ごめん……っ」

桃「謝るのも禁止」

赤「………分かった、」

やっと話を聞く気になったみたいで

桃「心配したやろ」

赤「え……？」

桃「めっちゃ泣いとるし、なんかあったんかと思った」

病室のドア開いたら、不細工な泣き顔で立っとるし

びっくりやわ。

桃「俺が嫌うとかないから」

赤「ほ、んま………？」

桃「ん。もし、しげに嫌われても、俺は嫌わへんと思うで」

赤「俺も嫌わんもん……っ」

やっと、いつもの調子で抱きついてきた。

桃「俺さ、今そんな機嫌悪くないねん」

しげは不思議そうに俺を見て

桃「不安そうやし、言ったろうか？」

そう言えば、少し顔を赤くして

赤「……顔隠す、」

抱きついてくるしげを抱きしめる。

桃「一回しか言わへんからよく聞いとけよ」

こういうのはずいんやから。

ぎゅっと抱きついてくるしげの耳に顔を近づけて

桃「大好きやで、大毅」

赤「うぅ……」

いや、唸るってなんやねん。

新しいリアクションすぎやろ。

あー、恥ずかし。

名前で呼んだん初めてやし、なんか、変な感じ。

赤「………あかん、」

桃「なにが？」

赤「顔見れへん、」

桃「へー、見せて」

赤「あ、かん！」

桃「なんで」

赤「不細工な顔しとるから、」

桃「で、しげは言ってくれないん？」

たまには、な？

こういうのもええやろ。

赤「………だ、いすき、………小瀧、」

桃「名前やないんや？」

赤「無理、やった、」

まぁ許してやる。

今日は特別な？

普段伝えへん分、こういうときにいわなあかんかなって。

泣かせたくないし

泣いてほしくないし。

別に付き合ってるわけちゃうけど、

このくらいがちょうどいいねんな。

両想いで止まる恋も、ありやと思うねん。

赤「………小瀧がかっこよくて涙出てきた、」

たまにわけわからんことあるけど。

幸せなことには変わりないから。


Fin.

小瀧くんだって嫉妬するんです。(リクエスト)→←・

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す