消したい姉と越えたい弟/1 ページ10
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「あ、」「お」
ピラティスに行ってきた帰り、エレベーター前でジェヒョンに鉢合わせした。
私が背負うリュックサックを見たジェヒョンが「ジム帰り？」と尋ねつつもエレベーターの扉を手で押さえていてくれる。こういう細かな気遣いがスマートにできるのが、雄の最高峰と言われる所以だろうか。
「ピラティス行ってきたの、年末歌謡祭に向けて」
「ああ、ヌナコラボステージ出るんだっけ？」
「そうなの。女の子に混じるとなると、今の体型じゃダメだから……」
普段活動している127では体格で見劣りしないようによく食べ、よく動き、よく鍛えることを意識しているが、華奢なガールズグループの子達に混ざるとなると話が違う。インナーマッスルを鍛えて引き締め、食事制限を行うことで女らしい曲線を残すことを意識した。
今回はガールクラッシュの路線で露出度が高い衣装だと、スタイリストのオンニから聞いている。コラボステージは“NCT”というグループの名前を背負って立つ舞台だから、責任もプレッシャーも感じている。
「ササミとかナッツとか食べるの本当に久しぶり」
「練習生時代のヌナの主食だったもんね。あの時は本当にヌナが可哀想だった」
「飽きちゃうじゃない？ナッツなんて味がしないし…」
そんな他愛もない話をしながらエレベーターの表示階数がどんどん上昇していくのを眺める。
直角的な5を電子板が示して「じゃあ私、行くね」という言葉が喉元まで出かかったそのとき、背後から「ヌナ」と低い声が私を呼び止めた。
振り返ると、ジェヒョンがボタンを押しながらエレベーターを5階に引き止めている最中だった。
「コラボステージ終わったら、何食べてもいいんだよね？」
「うん、そうだけど…？」
「じゃあヌナ、終わったら俺とディナーデートしよう。俺が奢るから」
そう言ってジェヒョンは笑窪を見せてボタンを押す。「ちょっとジェヒョンア、」と呼び止めようとした時にはとっくに扉は閉まって、電子板は6を指していた。
ジェヒョンイの背が高くなって、声もどんどん低くなって、顔つきも随分男らしくなった。誰が見ても格好いい素敵な男性だと思う。
それでも私にとって、私たちにとって、ジェヒョンはずっと愛すべきマンネなのだ。かわいい赤ちゃんで、弟で、庇護するべき存在で、なんでも買ってあげたい、そう思うのは私のエゴを押し付けているのだろうか。
「嗚呼、弟に奢らせるなんてできない……」
誰にもそのつぶやきは拾われることなく、ため息とともに落ちていった。
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まちゅ(プロフ) - むいさん» 続編ではジェヒョンにフォーカスできたらいいなあと準備しております😌❤︎続編でも何卒よろしくお願いいたします！ (2022年10月2日 13時) (
レス) id: 2b97907ab3 (このIDを非表示/違反報告)
まちゅ(プロフ) - ちょんぽむさん» わー！ちょんぽむさんありがとうございます♡夢っ子完結おめでとうございます長編お疲れ様でした…！こちらこそこれからも楽しみにしております💞 (2022年10月2日 13時) (レス) id: 2b97907ab3 (このIDを非表示/違反報告)
むい(プロフ) - 素敵なお話ありがとうございました！続編も楽しみです♡やめろって言われるともっとやりたくなることってありますよね！ね！ジェヒョン？ (2022年10月2日 0時) (レス) @page47 id: bdb62eeb43 (このIDを非表示/違反報告)
ちょんぽむ(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです…😭私も紅一点もの書いたりしてるのですが、絶対出ないであろう裏設定細かく作っちゃうのすごく共感しちゃいました😂これからも楽しみにしてます💚 (2022年10月1日 22時) (レス) id: d126820032 (このIDを非表示/違反報告)
xuani - まちゅさん» そうなんですね！まちゅ様が意図的になさっていたのに、なんだかお節介妬いてしまって申し訳ないです汗 丁寧なご説明ありがとうございます！これからもお話楽しみにしてます！ (2022年9月11日 9時) (レス) id: 7a071c7ca2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まちゅ | 作成日時：2021年1月2日 5時
