mellow

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海の家に戻ると、わたしの異変に気付いたのかお姉ちゃんが眉を垂らして声を掛けてきた。いつもなら心配きてくれた！と喜ぶけれど、今は酷い言葉を投げかけてしまいそうだ。






「先輩は？…買い出しから戻っててすぐに、Aが変な男に絡まれてたから行ってくるって慌てて出て行ったんだけど…」
『…怒られたから置いてきた』
「ありがとうも言わなかったの？」
『イマークが心配していたのはわたしじゃなくて…』






お姉ちゃんは知らないだろうけれど、それはきっとわたしのためじゃなくてお姉ちゃんのためだ。帰りに駅まで送ってくれたのも、今回も、授業に無理やり出させたのだって、わたしに何かあったらお姉ちゃんが心配をするから、お姉ちゃんが悲しむから。イマークはわたしを通して常にお姉ちゃんを見ていた。









「A、海入りに行こう」
『まだ時間じゃないでしょ』
「今日はあんまりお客さんいないからもういいって」








まだ12時を回ったばかりでこれからが忙しいのに、信じられなくておじさんを見ると手をヒラヒラ振ってありがとな〜と言っているからどうやら本当らしい。お姉ちゃんはまだ何か言いたそうにしていたけれど、呼びに来たのがジェミンだったからか、私も帰る準備始めるねとスタッフルームに入っていった。







『……さっきありがとね。ナナが来てくれなきゃお姉ちゃんと喧嘩してたかも』
「ん〜？」








わたしの浮き輪を引っ張りながら聞こえているくせに聞こえていないフリをしたジェミンは、あいつらまだあんなに体力あるなら店手伝えばいいのに、とお互いを沈めあっているドンヒョクとロンジュンを指差した。シューシー先輩は偶然家族が来ていたらしく、そこに合流すると誰よりも先にあがった。






「ジェノとどこか行くの？」
『…なんか、ここから15分くらいのとこのビーチに行く約束してる。秘密だったけどナナには教えてあげるね、わたしの親友だから』
「そっかそっか、楽しんどいで。ナナの親友たちが仲良しで嬉しいな〜」








本当に疲れていたのか、ジェミンはわたしの浮き輪に体を預けてそのまま寝てしまった。このままだと重さで傾いて沈んでしまうし、いくらジェミンが華奢だと言ってもわたしじゃどうしようもできない。起こすのも可哀想だしどうしようか悩んでいたら、もしかして寝てるの？とジェミンのもう1人の親友が現れた。

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