mellow

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もう少し甘い方が好きだと文句を言いながらもケーキを完食し、わたしの部屋にある漫画を読みながら、チソンくんがゲームに集中しているときにする仕草が可愛すぎてたまらないとか、例のマウント女たちがいい加減うざったすぎて、必殺技食らわせたら何人か辞めたから戻っておいでとか本当にただ話に来ただけだった。





『どんなの食らわせたの？』
「俺の1番はAだからみっともないことはやめてって」
『それは戻ったら確実に命なくなるからやめとくね』







本当にそう言ったのか言わないのか分からないけれど、あのギャル集団が辞めるということは相当キツいことを告げたのだろう。ジェミンもどこか楽しそうだし間違いない。ヌナ辞めちゃうんですか…？と恥ずかしそうに尋ねてきたチソンくんを思い出すと戻ってもいいかもしれないけれど、二度あることは三度あるって言うし、というか無限リピートされる気しかしないからやめておこう。








ジェミンが帰ってリビングで寛いでいると、お姉ちゃんが様子を伺いながら部屋から降りてきた。








『ナナ帰ったよ』
「あ、そっか」
『ほっとしたでしょ。……これ聞こうかずっと迷ってたんだけど、お姉ちゃんはナナと何かあったの？苦手なだけかなって思ってたんだけど最近前にも増してアレだから』
「…何考えてるか分からないからちょっと怖いだけだよ」
『何か嫌なこと言われた訳ではない？』
「違うよ、それは全然ない」







双子をやっていての長年の勘だけれどこれは多分嘘。お姉ちゃんは自分が気付いていないだけで、嘘をつくときは指先をよくいじる。ジェミンくんと仲良くて羨ましいなと笑っている今も、ずっとその癖が出ているし、やっぱり深入りしないほうがいい話題らしかった。あんまり口数が多い方ではないお姉ちゃんが違う話をしようと一生懸命口を動かしている姿はとても可愛いけれど、それが逆に怪しく見えてしまう。きっとジェミンと微妙な関係なのは、ジェミン«が»何かをしたのではなく、ジェミン«に»何かされたり言われたりするようなことをお姉ちゃん«が»したということだ。








「海楽しみだね」
『うん、イマーク来なきゃめちゃくちゃ最高なのになあ』
「先輩も来るの？」






ジェノの時よりも反応がいいのはわたしのただの思い違いなのだろうか。こんなこと言いたくないけれど、最近のお姉ちゃんはよく分からない。わたしが大好きなお姉ちゃんは、何かをきっかけにして変わり始めてきてしまった。

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