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こういったことは遠目で見ているか、ごく稀に悪ノリするかのどちらかだから、ジェノの言葉をさえぎるようにして自主的にイマークの妨害に向かったジェミンに疑問を持ちつつ、2人の手首を掴んでその横を通り抜けた。
一瞬だけイマークの声が聞きたくて速度を落としたけれど、2人は後ろで1限の授業内容を話しているから落としたことに気付いていなさそうだった。
夏休み前最後の抜き打ちだったらしく喜びとほんの少し寂しさもあった。なぜそう感じたのかは言わないでおくけれど、明日から始まる3日間のテストで赤点を取らない限り、素晴らしい夏休みが始まるのだ。ジョンウ先輩に去年のを見せてもらったけれど、特に難しい問題もなかったし普通に大丈夫だと思う。内容も少しは変わるだろうけれど、それでも数字とか選択肢くらいだろう。テスト考えるのめんどくせえとぼやいていたベッキョン先生はそれをするつもりすら無さそうだ。
『イマークってチャリ乗れないの?』
「乗れるけど?」
寝癖を付けて教室にきたドンヒョクに早速疑惑をぶつけると、冷たい目で見られてしまった。どうやらご機嫌ナナメらしく、苛立っているのかいつものように昼はどうするかとか毎朝いる可愛いコンビ二店員の話はしてくれないようだ。冗談で機嫌が悪いフリはするけれど、ここまで分かるように態度に出すってことはよっぽど何かあったんだろうか。いつも一緒に登校するロンジュンは置いていかれたか、この雰囲気を察知してわざと別に来ているに違いない。ドンヒョクは深いため息をつくと、彼氏ができたと死にそうな声で呟いた。
『……ドンヒョクが彼女を作らなかったのってそういうことだったんだね』
「俺じゃなくて妹!」
『中2の?』
「そう。マジ相手誰だよ」
テストどころではなさそうなドンヒョクに心の中で合掌しておいた。この調子だと確実に赤点を取ってしまいそうだ。気の毒だけれどいつかやってくる試練だろうし、むしろまだすぐ別れそうな年齢でよかったんじゃないか。
『妹大好きだね』
「お前だって姉ちゃん大好きだろ」
『まあ…』
「何だよ、喧嘩でもした?」
ドンヒョクのこういうところが家でお兄ちゃんをしっかりやっているんだと感じさせる。その場の空気を読めて、話を聞くのもうまいしスムーズに進めていく。勉強は苦手みたいだけど頭の回転が速いのだ。わたしが言いにくそうにしていたら、ジェミンにでも聞いてもらえよとそれ以上追求してくることはなかった。
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rri(プロフ) - すっごくどタイプすぎるお話です…!最高すぎます!!!これからも楽しみにしています!!! (2021年2月24日 18時) (レス) id: 476bb9a440 (このIDを非表示/違反報告)
+(プロフ) - いつも楽しませていただいてます。姉を想う主人公ちゃんが健気で、なんでこんなに良い子なのに気づかないんだ…!と毎回もどかしい感情を抱いてしまいます笑 主人公ちゃんもみんなも幸せになって欲しい泣 応援してます! (2021年2月23日 23時) (レス) id: a20d1c0829 (このIDを非表示/違反報告)
マナ(プロフ) - 文章、展開、設定、みんな好きで何度も読み返してます…これからも楽しみに読ませていただきます!! (2021年2月12日 9時) (レス) id: 597d1257a6 (このIDを非表示/違反報告)
侑那(プロフ) - わかりそうでわからないマクとジェノの感じが読んでてワクワクします!ナナやエクソ先生たちとの関係も最高です(*´˘`*) (2021年2月8日 15時) (レス) id: 5bbaa8a42e (このIDを非表示/違反報告)
xuu(プロフ) - 語彙力ないので伝わらないかもしれませんが、もうなんというかお話の雰囲気がほんとにどタイプ過ぎます泣応援してます!更新頑張ってください!! (2021年1月17日 19時) (レス) id: c7b9fc6037 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:kiki | 作成日時:2021年1月14日 14時