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放課後美容室で前髪を切るか切らないか、わたしは人生の岐路に立たされている。大袈裟に聞こえるかもしれないけれど、前髪というのは女の子にとって結構重要だったりするのだ。色はお任せで長さは整えるくらい、そう注文するつもりだったのに、前髪はどうするの?と担当のチャニョルオッパに聞かれてわたしは頭を悩ませた。
「顔小さいし似合うと思うんだけどなあ、軽くしとけば分けられるしどう?」
『う〜ん』
「このくらいなら半年しないうちに今くらいまで伸びると思うよ」
どうしても切って欲しいのかわたしの眉の辺りを櫛でなぞるチャニョルオッパと鏡越しに目が合った。中学の頃から通っていていつも期待以上にしてくれるオッパの腕は信じているけれど、印象ががらりと変わるから中々勇気が出ない。オッパが言ってくれているってことは、間違いなく似合うんだろうけれど…
「ヒョン、NOって言えない雰囲気に持ってくの辞めてあげて」
飲み物を持ってきてくれたアシスタントのジョンインオッパも口ではそう言いつつわたしとオッパの顔を交互に見てそわそわしている。2人の切って欲しいオーラを察知して頷いてしまい、前髪にハサミが入れられた。
少し後悔はしたけれど、半ば強制的に切らせたようなものだから安くしとくね!とサービスをしてくれてトリートメントもおまけして付けれくれたから気分は良かった。帰るときにいつもの数億倍褒めてくれたから、きっとチャニョルオッパはこういう感じの女の人が好きなんだろうなと無駄な知識が1つ増えて帰路に着く。
ショーウィンドウに写った私は、なんとなく普段着ないようなワンピースを身に付けていたのもあって別人のようだった。いつもより細いコテで巻かれたふわふわのそれは、女の子らしくてむず痒い。イマークはどんな子が好きなんだろう、答えは1つしかないのに。それを思う時点でイマークに対する気持ちを認めたのも同然だ。
『ただいま〜』
「…え!!!」
『唆されて切っちゃった』
目をまん丸にして駆け寄ってくるお姉ちゃんはものすごく可愛くて、イマークの気持ちが痛いほど分かる。この気持ちに蓋をするのが1番いいと理解しているし、誰かに言うつもりもない。
もし万が一お姉ちゃんがイマークを好きになったとしてわたしの気持ちを知っていたら遠慮するだろう。それでややこしくなるくらいならわたしが知らないフリをしていたほうのが何事も平和にうまく行くのだ。
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rri(プロフ) - すっごくどタイプすぎるお話です…!最高すぎます!!!これからも楽しみにしています!!! (2021年2月24日 18時) (レス) id: 476bb9a440 (このIDを非表示/違反報告)
+(プロフ) - いつも楽しませていただいてます。姉を想う主人公ちゃんが健気で、なんでこんなに良い子なのに気づかないんだ…!と毎回もどかしい感情を抱いてしまいます笑 主人公ちゃんもみんなも幸せになって欲しい泣 応援してます! (2021年2月23日 23時) (レス) id: a20d1c0829 (このIDを非表示/違反報告)
マナ(プロフ) - 文章、展開、設定、みんな好きで何度も読み返してます…これからも楽しみに読ませていただきます!! (2021年2月12日 9時) (レス) id: 597d1257a6 (このIDを非表示/違反報告)
侑那(プロフ) - わかりそうでわからないマクとジェノの感じが読んでてワクワクします!ナナやエクソ先生たちとの関係も最高です(*´˘`*) (2021年2月8日 15時) (レス) id: 5bbaa8a42e (このIDを非表示/違反報告)
xuu(プロフ) - 語彙力ないので伝わらないかもしれませんが、もうなんというかお話の雰囲気がほんとにどタイプ過ぎます泣応援してます!更新頑張ってください!! (2021年1月17日 19時) (レス) id: c7b9fc6037 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:kiki | 作成日時:2021年1月14日 14時