・ ページ22
V.S
『ま、魔法薬学ってこういうこと。お前たちが思ってるよりずっと自由で、失敗を重ねて色んなものを作る。ちょっと根気はいるけどね。……人を救うことも、殺すことも出来るものだから。お前たちが、そっちに手を染めないことを祈るよ』
そうアタシたちを見渡すルイス先生は、小さく笑みを浮かべていて。その表情はいつになく"先生"らしかった。
アタシたちが頷いたのを見て、ルイス先生はぱちんと指を鳴らす。途端に目の前にあった釜はどこかへ消えた。
……嘘。準備室の方から大きなものが落ちる音が聞こえてきた。あれ絶対準備室に転移させたわね。
その音を聞いた瞬間、クルーウェル先生が思いっきりルイス先生の頭を叩く。それはそう。これで叩かないなら、その人は聖人君子よ。
「は？……っ、ばか、お前、マジ……最っ悪。ばーか、ばーか！」
『あれ、学園裏の森に捨てたはずなんだけど』
「照れるとノーコンになる癖は相っっっ変わらずのようだな！」
クルーウェル先生のいつもの語彙力はどこかへ行ってしまった。恐らくこの後の掃除のことを考えているのだろう。頭が痛い、とクルーウェル先生は眉間を揉む。
そんな姿を見たのは初めてだったから、少しびっくりした。……けど、そういえばエペルたちが言ってたわね。二人は同級生だったかしら。
『やー、やっぱり先生面すんのって照れる。恥ずかし！』
「黙れ駄犬。……はぁ。……俺は今から準備室に行ってくるから、仔犬どもは実験を再開しろ。何かあったらAに言え。俺をこっちに呼び戻すな」
低い声でそう告げ、クルーウェル先生は足早に実験室を出て行ってしまった。
それをじっと見届けた後、ルイス先生が笑顔でこちらに近付いてくる。……何かしら。
『どうだった？俺の調合』
「……凄かったわ。手際も、速さも。……アタシも、出来るかしら」
同じポムフィオーレの寮長として、学ぶところは沢山あった。……だからこそ、少し焦りが生まれる。
アタシも、あんな風になれるのかしら。
そんな思いを見透かしたように、ルイス先生はアタシの頭をわしゃわしゃと撫でる。セットした髪が、崩れてしまった。
『別に良いんじゃない？急がなくて。……ヴィルが調合してるの見てたけど、綺麗だったよ。所作も、出来た毒も』
「……当たり前よ」
アタシを誰だと思ってるの？
そう言えば、ルイス先生は笑ってアタシの髪をもう一度撫でた。
手製の毒ー完ー。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1329人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ツイステ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あいらいん - なんでこれ公式じゃないんだろうって思うくらい好き (2023年4月4日 10時) (
レス) @page43 id: c168593882 (このIDを非表示/違反報告)
硝子ーtengitune.(プロフ) - このラジオに出れるなら私は最近泣いたの所に「プリ〇ュアで泣いた」って言いそう (2021年9月25日 20時) (レス) @page36 id: 04fcd4138c (このIDを非表示/違反報告)
チーズ鍋 - 碌無者さん» 完全な手違いですね……。消そうと思っていた方じゃない方を消してしまって……。ありがとうございます(ﾉД`) (2021年9月24日 7時) (レス) @page1 id: 067328da22 (このIDを非表示/違反報告)
碌無者(プロフ) - あんなに書いてらしたのに続編が消えていて……手違いでしょうか？ ご愁傷さまでございます。 (2021年9月24日 1時) (レス) @page50 id: 0a4b7a6801 (このIDを非表示/違反報告)
？？？ - 了解です！頑張ってください (2021年9月23日 22時) (レス) id: ae4d7ce9d5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：チーズ鍋 | 作成日時：2021年9月6日 22時
