白い悪魔＿瓦解の章《エイリア学園》《吹雪士郎》

＊ ページ11

＿感覚が掴めない。
頬を伝う汗を拭いながら、またもや受け止められた、機械の手中にあるサッカーボールを睨んだ。

「……」

ちらり、と時計を見れば、もうすぐ夜の七時だった＿…結局コツのひとつも理解出来なかったわけだ。

ずっと得意なことばかり練習していたから、"苦手なものの練習"の仕方がよく分からない＿手探りでやるにしたって、余りにも時間が足りない。

「…やっぱり、誰かに聞いた方が早いよね…」

つまり、今日一日かけて得られた答えはそれだけだった。
いつ攻めてくるかわからないエイリアに対して、悠長にこんな先の見えない特訓をする訳にはいかない。

＿となると、誰かに聞かなきゃいけないわけだけれど、ここで問題がひとつ。

「…誰に聞こう……」

吹雪は長く一緒にいすぎて参考にならない可能性の方が高いし＿染岡はもういないわけだし。
なら鬼道か一ノ瀬か＿でもあんまり話したことないのよね…他の人よりは話したことある気がするけれど。

…とはいえ、今日の練習はもう切り上げないと。
これ以上は明日に響く気がする＿もともと、体力は多くない方だし。
タオルを肩にかけてから髪を解いて、ちょっと迷ってリボンは手首に巻くことにした。今首に巻いたら痒くなりそう。

「吹雪ももう終わったかな…終わってないだろうな…」

あたしを呼びに来ていない時点で、まぁそういうことだろう。
熱中するのは良いけれど、適度に休んでもらわないとこっちが心配だ＿色々迷惑もかけた身で言うことじゃないけれど。

「自販機、近くにあったっけ…」

吹雪は確か隣の部屋だ＿少しだけ残っていたコーラを飲み干して、部屋の扉を開ける。自動って便利ね。

確か通りすがりにあった自販機の近くにゴミ箱があった気がするけど、その自販機がどこにあるか忘れてしまった＿…記憶力の問題はまだ続いているらしい。
それもそれで、嫌になる話だ…吹雪にこれ以上心配させる前に、どうにか原因を探っておかないと。

…久しぶりに手帳とか買っておこうかな。

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