【RKRN】オレンジ［久々知兵助］ (ページ2)

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「おはよーございまーす！！」
『翡翠おはよー、昨日のお笑い見た？」
「見た見たー！」
元気よく吹奏楽部のみんなに挨拶を交わし、雑談をする。
「定期テストの山はどこかな」とか、「新しいアプリ見つけた」とか。

何気ない会話ではあるが、なぜかパッと花が咲かない。

その理由は多分、彼らがいないからだろうな。

「お前らおはよー！」

噂をすれば、影。
クラスの中心の一人、竹谷八左ヱ門のご登場だ。
竹谷の後ろから、似たような顔立ちの二人が並んで入ってくる。
「おはよー。」
「Good morning!」
柔らかい雰囲気を漂わせた方は水泳部部長の不破雷蔵君。何となく優しいそうなので君付けにさせてもらっている。
わざわざ英語で挨拶してきた方が演劇部部長で、クラスの学級委員長を務めている鉢屋三郎。風の噂だと三郎は帰国子女だとか。
二人は親戚関係などは全くなく、声質を除けばドッペルゲンガーのように似た顔立ちをしている。恐いくらいに。
「鉢屋、なんかアンタ今日生き生きしてない？」
「そうか？…雷蔵の顔を見たからかな」
「アンタなんなの本当、キモいよ。」
「そうだよ三郎…」
「なっ！？」
私と雷蔵君の発言であたりは爆笑の渦で、竹谷もお腹を抱えて笑っていた。

「ねぇ、ちょっと退いてくれない？」

その一言で、周りの明るかった雰囲気がシーンと静まり返った。
「兵助ってば…そんなにツンツンすることないんじゃないの？」
「別にしてないし…」

雷蔵君が笑いながら話すが兵助と呼ばれた彼は澄ました顔で「先生いないの？」と竹谷に聞く。
「あー、まだ俺ら見てない。翡翠たちもだろ？」
「うん、居なかったよ」
「分かった」とだけ言ってその子は自分のクラスへ戻っていった。

「竹谷達、あの男子と知り合いなの？あの子感じ悪ーい」
「そんなこと言わないであげてくれ。」
「アイツは1組の久々知兵助。俺らと昔から仲良いんだ。」
「そうなの？」
…かんえもん？なんか八左ヱ門並みにすごい名前…
「兵助と同じ1組の勘右衛門含めて僕たち五人は仲良しだったんだよ。」
三人は昔の楽しかった思い出を思い出すように笑っていた。
「そうなんだぁ…何か良いなぁ！」
「兵助、無愛想なところがあるけど結構子供っぽいんだぜ？
豆腐が好物なんだけどこれが異常でさぁ。豆腐使った料理だけはプロ並なんだ。」

「なんか…それ聞くと面白い子だね。」

「だろ？」

キーンコーンカーンコーン、と予鈴がなる。席に戻るみんなに紛れ、私も席に座り教科書を開いた。