＊ ページ5
相澤先生に言うと、犯人は探しとく、それまで普通に授業を受けていろと言われた。
敦はまだ動かない芥川を引きづり教室に向かう。
「お前そろそろ立ち直れよ」
そんな言葉さえ届いてないらしい。
それでも芥川は自分から動きだし、席に座った。
授業が進む中、敦はチラチラと様子の可笑しい芥川を見ていた。
先生から連絡があったのは、放課後だった。
「どうもこいつらしい。無差別にかけて困らせる少し有名な奴だ。」
先生の印刷してくれた紙には顔写真と詳細が書いてある。
「まぁ好きにしろ」
その紙を貰い、先生に礼を言う。
敦はじっとその顔写真と文を見つめた。
ふと、隣にいた芥川が歩き出した事に気付き、敦は顔を上げた。
「何処行くんだよ」
「黙れ」
廊下を進む芥川を敦は仕方なく追いかけた。
「(あれ、この道)」
芥川が入ったのは保健室だった。
敦も恐る恐る、続いて保健室に入る。
中では芥川がAに話しかけようとしていた。
敦はそれを固唾を飲んで後ろから見る。
「コートを返せ、約束は守る」
Aは振り返りもせず、机の引き出しから畳まれたコートを取り出すと芥川に投げた。
「今日中に返して」
その後さっさと出て行けとばかりに手を振る。
そんなAに敦は再びショックを受けつつ、不安げに芥川を見る。
「(何をする気だ？)」
芥川は敦をチラリと一瞥するとさっさと部屋を出る。
敦もAにこれ以上言われると心が持ちそうにないので慌てて外に出た。
廊下で立ち止まっている芥川の顔を敦は覗き込む。
「お前、何しようと…」
敦は言葉を区切った。
芥川が嗤っていたからだ。
愛用のコートを制服の上から羽織る。
芥川から滲み出る殺気は今まで感じてきた物とは違い、敦は慣れたはずの殺気に恐怖を感じた。
芥川はゆっくりと口を開く。
「紙を寄越せ」
「は？…ほら」
敦は先生から貰った紙をポケットから取り出すと芥川に差し出す。
芥川はそれをひったくるとじっと睨むように見つめる。
数秒そうしていて、不意に芥川は持っていた紙を空中に放る。
何するだよ、と敦が言おうとした。
だがその前羅生門によって紙が木っ端微塵になった。
粉のようになった元紙だったものは床に振り積もった。
芥川はそれを踏みにじる。
「何すんだよ！貰った紙が…」
「顔は覚えた」
芥川はゆっくりと口角を上げる。
「久々に頭にきた」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 112人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Ainyami | 作成日時：2019年8月18日 11時
