［文スト］［ヒロアカ］新双黒の担当医＋ (ページ13)

今日:4 hit、昨日:1 hit、合計:26,921 hit

幼児化の夢主ページ13

目の前が紫色の煙で見えない。

ポン、と軽快な音が耳に入った。

あぁ既視感(デジャブ)。

ただ前回と違うのは煙に包まれているのが自分だと言うこと。

煙を吸い込んでしまい、ケホ、と咳をする。

「Aちゃん？！」

「A！？」

手で煙を払い、既にその腕が小さいことに気づいた。

あぁやっぱり。

煙が晴れて一番に見えた二人の姿。

私よりも三倍くらい大きい。

否、私が三分の一に縮んだんだけど。

私は自分の体を見下ろす。

面倒な事に…はぁ

ぺたぺたと自分の体を撫でくり回す私を二人は目を見開いて見つめる。

やがて敦がしゃがみこんだ。

私と目線を合わせる。

「ええっと…Aちゃん？」

「そうよ」

「…何で小さいの？」

「個性に決まっているだろう愚か者。」

「煩いな」

龍も敦の隣にしゃがみこみ、じっと私を見つめる。

「…可愛い」

「殴るわよ」

「ごめんなさい」

思わず零してしまったらしい敦をぐっと拳を作り睨みつける。

ふと、マフィアにいた頃の幼少期を思い出した。

絶対に着たくないフリルのついたドレスを手に持ち迫る幼女趣味(ロリコン)と、それを嫌がる当時同じぐらいの背だった金髪と赤いワンピースの少女。

その横で冷たい目で幼女趣味(ロリコン)を見る私。

あの人私にまで着せようとしたっけ…

ブンブンと私は頭を振りその記憶を振り払う。

嫌なもの思いだした。

「職員室行くぞ」

敦は扉の近くで待っていた。

そう言って立ち上がる龍に両手を伸ばす。

「…？」

「連れてって、この身体じゃ歩くのが遅い」

龍はぎょっとした顔をし、暫く固まる。

やがて恐る恐る、私の身体に手を伸ばしそっと持ち上げた。

抱っこの仕方は知っているらしい、あぁ銀が居たからか。

「早く」

そう言うと龍は歩きだす。

扉の近くで待っていた敦は龍を見て、私を見てショックを受けた顔をした。

職員室に向かう途中、敦はじっと私を見る。

やがてボソリと呟いた。

「僕も…」

「帰りね」

ぱあっと顔を明るくする敦。

私を抱っこして何が楽しいんだか。

でも少し嬉しいような気がした。

何だかんだ私は二人が好きだし。

行く途中通りすがった人にジロジロと見られるのは全く嬉しくなかった。