Fate’s Smile -Yunho-

私の価値　(yunjo) ページ35

初めて見るユノの表情だった
憎しみや悲しみが入り混じった顔…
だけど微かに微笑んで見える



ユノ「富樫会長…
まさかあなたはAさんに値段をつけろと仰っているんですか？」


祖父「その通りだ
この子は我がグループの後継者でな…
どうしても政略結婚してもらわねばならんのだ
だから買い取らせてくれ」



買い取る…？


私は物ではない
だけどユノが私にどれだけの価値を感じているのかについては興味がある


それにユノは不思議な程穏やかな表情で…
だからとりあえずユノに任せてみる事にした



ユノ「そうですか…
それならばあなたの全財産を僕にお譲り下さい」


祖父「全財産だと…？」


ユノ「僕にとってのAさんにはそれほどの価値があるんです
ですが正直それでも全然足りません…」


祖母「どうかしてるわ
この子のどこにそんな価値があると言うの？」


ユノ「いくら説明してもAさんの事を何も知らないお二人には分からないと思います
逆に答えていただけませんか？
お二人にとってのAさんの価値を…」



2人は同時に鼻で笑った



祖父「一応この私の孫だからな…
1億円くらいの価値はつけられるんじゃないか？」


祖母「何言ってるのよ！
こんな子せいぜい1000万円くらいがいい所よ」


祖父「ま…そうだな
1000万円くらいが妥当かも知れん」



私の価値は1000万円か…


高いのか安いのかよく分からないから悲観も何もない
無の境地だ



ユノ「1000万円ですか…
つまり韓国だと1億ウォンほどですね？
分かりました
今直ぐに支払います」



思わず口が『は？』ってなったけど辛うじて声にはならなかった



祖父「支払うとはどう言う意味かね？」


ユノ「彼女を購入すると言う意味です
今ここでお二人が彼女に付けた金額を全額キャッシュで支払います」



え？
全額キャッシュで…？
ユノってば何言ってるの？
ってか今はそんな大金持ってないでしょ！？



祖母「あなたは何て事を言うの？
生きてる人間の売買なんて出来る訳ないでしょ！？」


ユノ「お忘れですか？
初めに僕から彼女を買い取ろうとしたのは富樫会長ですよ？」



ユノの言葉にさすがの2人の顔にも戸惑いの色が見え始めたから勝利を確信した

隠し玉　(yunho)→←心ない人　(yunho)

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す