泡恋マーメイドLast・・Kei.Ryosuke・・

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A「伊野尾くんって爪のお手入れとかしてる？」

慧「へぇ？したことないよ。爪切りでテキトーに切って終わり。いっつもどこまで切っていいかわかんなくなる」

A「本当〜？それでこんなに綺麗なんて羨ましいよ」



花火大会も終盤。煙が晴れるまでの一時中断の間、静かになった夜空の下で、
手持ち無沙汰でふと繋がれたままの彼の手をまじまじと見つめた。



慧「Aちゃんの爪かわいい。自分でやるの？」

A「これはさすがにプロの仕事だよ〜」

慧「えー、いいね。かわいくてずっと見ちゃうよ」

A「伊野尾くんもやったら」

慧「ふは！いーかも。意外と似合うかも！」

　

お酒も少し回ってきて、なんだか距離の感覚が分かんなくなっちゃった。私今もしかしてけっこう大胆なことをしてる？2人で手を絡めながらのおしゃべりは、周りから見たら相当なバカップルな気がする。



ひとしきり笑った後で、不意に伊野尾くんが静かになって、
やや酔っ払ったみたいでうーん…ってちょっと下を向いて、またこちらに向き直ってきた。



慧「一個だけ質問いいですか」

A「え、何、緊張する」

慧「ふは、大したことじゃ…なくないけど」



なんだか歯切れの悪い言い方で、うーんと次の言葉に迷っていた伊野尾くんは、意を決したように私の目を見つめながら言った。



慧「今日さ、本当に誰からも誘われてなかったの？花火」

A「へっ…、な、なんで？」


なんだか急展開。というかいきなり核心。
構えていなかった分、わかりやすく動揺してしまった。


慧「だってこんなかわいーのに、当日フリーとかちょっと意味わかんないなと思って」

A「それは伊野尾くんの方こそ」

慧「山田は今日は仕事？」

A「へっ…？」



なぜそこで涼介？
と思った途端、なんだか後ろめたいような、なんとも言えない気持ちに包まれた。



A「なんで涼介が出てくるの」

慧「出てくるでしょ。気になってたんです」

A「そう言われましても…、」



思わず繋いでいた手を離したら、それはすぐに捕まってぎゅ、と握り返された。


はぐらかせそうにない雰囲気。


はぐらかす？何を？

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