桜雨、恋の音。2・・Kei・・

#54 ページ7

慧「ねー光、タコまだぁ？」


光「まだぁ？じゃねーよお前ら手伝え！」




キッチンの方から、苦笑いしている光の声。





慧「えーだって俺ほら、一応ピアニストだしぃ、指切ったらまずいじゃん〜？」



A「あ…包丁一本しかないし…あは。」




ふっざけんな！って声がまたキッチンから返ってくる。慧がごめんごめんって笑いながら、ビールの缶を開けて光に渡した。







A「慧、そっち焦げそう！」


慧「げ、やばやば」





動画も何となく形になった頃、外の気配は夕暮れから夜。

慧が『腹減った！』と騒ぎ出して、光が笑いながらパソコンを閉じて。




今は、下準備すら待ちきれなかった慧が、なぜか準備していた白米をたこ焼き器に入れているところ…





.





慧「いー感じじゃない？ミニ焼きおにぎり！的な」


A「ふふ、かわいいかも」


慧「はい、これ味見て」


A「ふぇ？」



不意に口元に運ばれてきたそれを、反射的にぱくりと口に入れた。



慧「ど？」


A「あつい…！」


慧「ふは、ごめんごめん」


A「あ、おいしいかも」


慧「まじ？俺も食お〜」




.





小さいテーブルを囲んで、2人でワイワイ。

光には悪いけど、ちょっとだけ、

慧の部屋で、2人きりでご飯を食べているみたいな錯覚に陥って、こっそりドキドキと胸を高鳴らせた。






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光「ホラ、これA用」


A「んー？ノンアルコール？カクテル？」


光「気分だよ気分」


慧「うぇーい乾杯〜」





いつの間に用意してくれていたのか、光が差し出してくれたのはノンアルコールのカシスオレンジの缶だった。





光「ど？」


A「うーん炭酸。甘い…」


光「食レポ下手か！」






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やっと下準備を終えた光が加わって、賑やかな時間が過ぎていく。

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