#85 ページ39
A「光！ただいま！」
半年振りに見る彼の笑顔に嬉しくなって、思わず駆け寄る。
長椅子に腰掛けてベースをいじっていた彼も、ストラップを肩から外して立ち上がった。
.
光「おっせーわ。帰ってこないかと思った」
A「ごめん、楽しくてつい…、あ、はいコレおみやげ！」
光「なんじゃこりゃ」
A「え？知らない？エッフェル塔だよ」
光「そういうことじゃねぇよ」
持っていた袋から取り出した、エッフェル塔の形をした帽子を、
笑いながら背伸びして光に被せる。
A「あはは、似合ってるよー！」
光「お前な、」
ひゅん、と飛んできたチョップを寸前で避けた。
A「ふ、腕落ちたな光」
光「隙ありー！」
A「いった！」
と思ったらむに、とほっぺをつままれた。
光「そっちこそ」
2人でひとしきり笑って、ふと、
彼の手が私の頭の上にぽす、と着地して止まる。
光「良かった。めっちゃ元気そーじゃん。楽しかった？」
子どもの頃から変わらない、お兄ちゃんみたいな優しい眼差し。
たまらなくほっとして、帰ってきたんだなっていう実感がじわじわと湧いてくる。
A「うん。…行ってよかった」
私の答えに返事する代わりに、
光は目の端っこをくしゃりとさせて笑った。
.
A「光、この後は？バイト？」
光「あー、バイトはないけどバンドがね、練習行かないと」
A「そっか…」
光「まだ時間あるし、もう少しいられるけど」
A「ほんと？一回寮に荷物置いてきたいんだけどさ、戻ってくるからまだいて？」
光「ふは、ハイハイ。1人で行ける？なんか持つ？」
A「それは大丈夫！」
長椅子に座り直してベースを手に取る光に手を振って、
重たいキャリーケースを引きずりながらアトリエを出た。
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とまと(プロフ) - 深夜に一気読みで号泣でした、、こんなステキな作品に出会えたこと、とても嬉しいです！、これからも応援してます、頑張ってください！！ (2019年12月31日 2時) (
レス) id: e7e27b9562 (このIDを非表示/違反報告)
Nana - いつもドキドキしながら読んでます！最近更新の頻度が高くて嬉しいです！すれ違いってせつないですね、、彼女さんもいい子みたいだし登場人物が皆いい人なので皆に幸せになってもらいたいです続きも楽しみに待ってます！ (2019年11月17日 0時) (レス) id: 2ec27d7b3e (このIDを非表示/違反報告)
sayo(プロフ) - 切なくて切なくて、先が気になって仕方ありません。毎回、おもしろ度を最高につけたいのに既に投稿済みで無効になってしまうやるせなさ…ついにコメントまでしてしまいました。更新、楽しみにしています。 (2019年11月12日 19時) (レス) id: 8f2791b52a (このIDを非表示/違反報告)
まひろ(プロフ) - 100票目をいただきました！すぐ駆けつけられなくてごめん（ ; ; ）ちゃみちゃんの書く伊野尾くんは柔らかくて可愛くて大好きー！楽しみにしてます(*^▽^*) (2019年10月31日 20時) (レス) id: 135a6c956f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちゃみ
| 作成日時：2019年10月26日 23時
