桜雨、恋の音。2・・Kei・・

#73 ページ26

A「…光、もういーよ彼女つくって。」


光「ハァ？なんでAの許可ないと彼女作れんのよ俺」


A「ちがうの？」


光「…何が？」




瞬間、彼の目がいつになく真剣にこちらを見ている気がして、

ちょっと焦って、しどろもどろになる。





A「え…？だから、私のお世話しないといけないから彼女作らないんでしょ？わ、私もう1人で大丈夫だから、痛っ！！」





と思っていたら、おでこに特大のチョップが飛んできた。




光「うっせーな、どうせ俺は彼女全然できませんー！バンドマンなんて意外とモテねーんだよ！」


A「ちょ、今のチョップ本気だったでしょー！」


光「逃げるが勝ち！」


A「待て！お返し！」




笑いながら走り出した光を追いかける。割とすぐに追いつけたのですかさず仕返し。




光「いていて、ごめんごめん悪かった、」


A「分かればよろしい」


光「ふっは、A元気になったじゃん」


A「あ、そういえば」






じゃれ合いながらいつの間にか飛び出していた廊下。



少し先を歩き始めた光が振り返って笑った。





光「こーゆー時はなんか美味いモン食うに限んだよ！ほら行くぞ！」


A「あ、待って、」






その笑顔が、さっきまでのおふざけモードとは少し違って、





どこか寂しそうに見えたのは気のせい？







.








光「…俺にしとけばいーのに。」


A「へっ？なんか言った？」


光「別に？」









やっぱり、気のせいか。






覗き込んだら、いつもみたいにいたずらっぽく笑う、いつもの光だった。

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