#34 kei ページ36
慧「光ってさ、」
なんとか追いついて、早足で歩く彼女の隣、
慧「誰彼構わずめっちゃくちゃ世話焼くよね?なんかばーさんみたい」
何にも気付いてないフリして、バカみたいに明るく話しかけてみる。
A「…じーさんじゃ、なくて?」
小さく返事が来たからほっとした。
もう泣いてないみたい?
慧「ふは、そうそう。いちいち細かいところがばーさんぽい。音楽部でもさぁ、」
.
そのままテキトーに、学部の飲み会で酔っ払い介抱してた光の話とか、多少盛りつつ話し続けた。
フォローにしてはちょっと雑過ぎ?
でもなんか、笑ってほしかった。理由はなんでもいいから。
.
A「ふふ、そーなんだ。どこ行っても変わらないね、光って」
どうにか最後、Aが小さく笑ってくれたのが結構嬉しくて、
A「ってゆーか、結局送ってもらっちゃったね、ごめん、明日があるのに」
慧「明日?」
夢中で喋ってたら、いつのまにか女子寮の前に着いていた。
A「…早いんじゃないの?」
慧「あー、そうだ!早いんだった、早く寝よー、アハ」
A「慧、ちょっと酔った?」
小さく笑う君の、夜風になびいた長い髪が、
綺麗だな、って思った。
慧「そーかもね。」
A「ありがとね。…気を付けてね。」
慧「うん。おやすみ」
.
手を振って、背を向けて、
そのまま今にも駆け出しそうなくらいの早足で歩き出した。
自分の中で膨らみ始めた想いが、思いのほか大きくなっていたことに戸惑っていた。
何してんだろ、俺。
もうだめ、これ以上は…
.
だってさ、俺は、
慧「…、」
その時ポケットの中で震えたスマートフォン。
『 着信中 : 茉莉花 』
そういえばさっきも着信入ってたんだっけ。
小さく咳払いをして、画面をタップする。
.
慧「もしもし?ごめんごめん、バイト急に入ってさ…」
もう桜の花びらは全部散ってしまって、見る影もない。
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夜神月風火 - いつも楽しみに読んでます。ちゃみさんがだいすきなので、更新されるたびにうれしく思います!無理なさらず頑張ってください! (2019年8月15日 15時) (レス) id: d7aa5f874c (このIDを非表示/違反報告)
もこ(プロフ) - Twitterで2つ連載されると聞いてわくわくしながら待ってました!いつもちゃみさんの新作を見るとどんな伊野尾くんでも本当にきゅんきゅんするんです!2つ同時に連載されるのは大変かと思いますが、無理なさらないでくださいね!ずっと待ってます! (2019年4月5日 1時) (レス) id: 06987761d1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちゃみ | 作成日時:2019年3月22日 0時