世界で一番、近くて遠い。・・Kei・・

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慧「うんめー！生き返ったー！」


A「…食べ終わったら帰ってくださいね」


慧「おかわり！」


A「あの！聞いてます？」


慧「ふぁ？」




.





お腹すいた、って言ってたし。
私もろくにご飯食べてなかったし。
冷蔵庫にお肉とお野菜余ってたし。
だからついでに。
なんて。



何自分に言い訳してるんだろ。






とりあえず私は、私が適当に作ったお肉と野菜の炒め物が面白いように目の前からなくなっていくのをじーっと観察することに集中していた。




…イケメンに餌付けしちゃった。






蛍光灯の下で見るその人は、見れば見るほどイケメンだった。
透き通るような真っ白な肌。線の細い体。
なんか、今にも消えて無くなっちゃいそうな感じ。



その割にはすごくよく食べるなぁ。すごい勢いで白いご飯をがつがつ。






.






A「あの、おいくつなんですか」


慧「俺？えーっとぉ、Aは何歳だっけ」


A「22ですけど」


慧「あぁ、じゃぁ俺も一緒！」


A「な、」





んだそりゃ。適当な…





A「普段は何されてるんですか？仕事？学生？」


慧「普段…？なんだろ、何もしてない。寝てる。」


A「は、」





やばい、やばい。
やっぱりやばい人だ！





慧「ごちそうさまでした！」




食器の前で手を合わせる満足そうな笑顔は、思わずこっちの頰も緩んじゃうくらいに可愛かったけれど、

騙されないぞ。





A「お粗末様でした。じゃ、これで、」


慧「あ、お皿洗うよ。それくらいさせて」




彼はあざとく首をこてん、って傾けて、にっこり笑った。




A「あの、でも、」


慧「適当にゆっくりしてて？」




立ちかけた私を椅子に戻して、お皿を重ねてキッチンに向かう、ご機嫌な様子の後ろ姿。


はぁ。なんだかこっちのペースが狂う人だ。
なのになんでだろう。


なんだか妙に、安心する、ような…？

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