世界で一番、近くて遠い。・・Kei・・

＊ ページ46

電気を消そうと立ち上がった時、ふと、ソファからだらりと床に向かって無造作に投げ出された細い腕が目に入る。





A「あれ、そういえば」





確か、こっち側の腕だったような。
思わずその肘の辺りにぺたりと触れた。





A「ねぇ、ここもう治ったの？」






そこには数日前、…初めて会った日の夜に、私のせいでできてしまった擦り傷があるはずで。





慧「へ…？あー、うん、治ったね」



A「早くない…？」




いくら数日経っているとはいえ、けっこう大きな傷だったはずなのに、


こんなに、少しの跡も残さずに、綺麗に治るもの…？







慧「えー…そう？…Aの手当てがじょーずだったんだよ、…きっと……」






彼はそう言い残して、すやすやと眠りに落ちてしまった。






…そうかな？大した処置もできなかった気がするけど。そういう体質の人なのかな？傷が治るのが早い体質。そんな人いる？






…まぁいっか。







A「ふぁ…」








その時急に、強い眠気に襲われた。


疲れたな。







さっき、慧が部屋にいなかった時、どうしてあんなに不安になっちゃったんだろう。



和くんとのことがあったから、情緒不安定にでもなっていたのかな。


いけない。しっかり、しなくちゃ…
なんだか今日は長い1日だった。








.









電気を消して、目を閉じると、眠りの世界はもうすぐそこで。









彼によってフル充電してもらった心がぽかぽかと暖かくて心地良くて、


私はそのままあっという間に眠りに落ちた。

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