検索窓
今日:4 hit、昨日:3 hit、合計:269,159 hit

ページ28

ざわざわ。ざわざわ。




動揺が隠しきれなくて、モールの中をでたらめに歩き回る。





きちんとこの目で、和くんの家族を見たのは初めてだった。

穏やかに笑う美人の奥さんと、天使みたいに可愛らしい男の子。





和くんはいつも、私を抱いた日も、そうでない日も、
あの人達のところへ帰るんだ。







頭では分かっていたつもりなのにいざ目の当たりにすると、
自分がいかにその事実から目を背けていたのかということを思い知らされる。








それから、それから、


慧と一緒にいるところ…見られちゃった。
手を繋いでいるところも見られただろうか?
次に会った時、何て言い訳しよう?






そこまで思考がぐるぐると回って、はっと気付いて近くのベンチに座り込んだ。





…言い訳も何も。
そもそも和くんがそんなこと気にするだろうか?








.







どれくらいそこに座っていたのか、
通り過ぎて行く人たちをぼんやりと眺めていて、あ、と気付く。


しまった、慧は携帯持ってないんだった。

ここどこだろう?広いモールの中をかなりでたらめに歩き回ったせいで、自分の現在位置がさっぱりわからない。





.







「Aみーっけ、」






だけど立ち上がろうと顔を上げた途端、視界に入ったのは、
ここ数日ですっかり見慣れたシャツの、青いストライプで。








慧「終わったよ。コレありがとう」








彼はさっきのお店の紙袋をぷらぷらさせながら、へら、と笑って、私の手にお財布を戻した。







A「…よく分かったね。ここにいるって」


慧「んー?なんかね、勘が当たった」







そういえば、よく考えたら私、この人にお財布なんか渡しちゃって、
このまま持ち逃げされたらどうする気だったんだろう。





私の中の意固地な私が一応、そんなことを呟いたけれど









慧「ね、アイス食べない?」


A「アイス?」


慧「そー。三段重ねのやつ!」







本当は心の奥でこっそり、思い始めていたんだ。
彼は、そんなことをするような人じゃない、って。






A「…食べる。」


慧「ふふ、行こ」






彼はふにゃりと笑って、当たり前のように私の手を取って、歩き出した。

*(7/11)→←* (7/6)



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (389 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1062人がお気に入り
設定タグ:Hey!Say!JUMP , 伊野尾慧 , 二宮和也   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

(プロフ) - 頑張ってください!更新楽しみにしてます!できればパスワード教えてください! (2018年7月23日 13時) (レス) id: cd068f5c5f (このIDを非表示/違反報告)
涼宮 - とても面白いです!パスワードを教えてくれませんか? (2018年7月21日 21時) (レス) id: 69077a28f6 (このIDを非表示/違反報告)
かほ(プロフ) - 好きです!伊野尾さんののほほん感がよく描かれていて、リスペクト!尊敬してます。ちゃみさん、これからもゆっくりマイペースで大丈夫ですので、変わらず更新を続けて下さい!ずっと、応援します! (2018年7月18日 20時) (レス) id: 0cc6cf21ff (このIDを非表示/違反報告)
かんな(プロフ) - ちゃみさんの描く伊野尾くん大好きです、、!また更新たのしみにしてます!! (2018年7月18日 0時) (レス) id: 6d46aa0005 (このIDを非表示/違反報告)
希都 - ちゃみさん!私、こう言う切ない系のお話大好きなので、楽しく読ませて頂いてます!更新頑張って下さい! (2018年7月5日 21時) (レス) id: 6465792da0 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ちゃみ | 作成日時:2018年6月21日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。