第3話 ページ5
二条城へ行くバスの中で彼女の横顔を眺める。なんで喋らないのかって?彼女が外の景色に夢中で、邪魔しちゃ悪いと思ったから。それにしても横顔尊すぎるでしょ。もっと見てたいな、と思った矢先にバスが止まる。どうやら目的地に到着したようだ。バスを降りてチケット売り場に向かう。誰も並んでいない。ラッキーと思いながら喜び勇んでチケットを買おうとするかが、僕はある異変に気がついた。チケット売り場のシャッターが閉まっている。これじゃあチケットが買えないじゃないか。まだ閉城時間じゃないでしょ、と思っていると彼女が手招きをしている。なにかを見つけたようだ。なんと閉城時間の30分前に入場は終了するそうだ。なんという誤算。せっかくの作戦が水の泡。そこまでは調べてなかった。けど普通そうだよね。レストランとかもラストオーダーって30分前だもんね。彼女には謝らなければならない。僕が土下座せんばかりに謝罪すると、申し訳なさそうに、今回のデートはあなたに全部任せてしまったからそれは私の責任でもある。こちらこそごめん。…っておい、良いやつすぎません?優しすぎでしょそれは。とりあえず二条城を後にしなければ、と思ったものの、ほかの観光地も基本的に閉まり始める時間である。次行くとこは限られるし、なによりも今回の本目的であるツーショットの「ツ」のじもないくらい写真が撮れていない。仕方がない、一旦京都駅に戻って考え直さないといけないな、という結論に達しようかというとき、僕の中にある考えが浮かび上がった。そういえばまだ狐のお面せんべいを手に入れられていないじゃないか。伏見稲荷って何時まで空いてる…?と思い、某グーグル先生で検索。なんと伏見稲荷は24時間空いてるそうじゃないか!
彼女にそれを伝えるとすぐに伏見稲荷いこう、と返事がきた。そうなれば行動あるのみ。早速京都駅に向かうバスに大急ぎで乗り込む。頼むからバスの乗り継ぎがスムーズであってくれ。そうじゃないと何にもできない。車の流れが遅く感じる。彼女と喋る余裕すらない。なにひとつデートらしいことができていない。
焦りが渦巻く。早く駅に着いてくれ。
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作者名:チャルさん x他3人 | 作成日時:2020年3月30日 23時