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〜薬研side〜

薬研「何考えてるんだ大将!!」


扇「い、いやぁ……あはは」


薬研「あははじゃねぇだろ!九条は太刀だぞ!?短刀と違って夜目も効かないし小回りも難しい。そんなところに練度も高くないあいつを連れて行くなんて自分で死にに行かせてるのと変わらない!!」


大将の返答に満足そうに九条が部屋を出て行き、残された俺はここぞとばかりに怒鳴りつけていた


九条に気圧されたのかなんだかは知らんが、大将の判断は余りにも迂闊すぎる


自分の主を信用していないわけではないが、こればかりは黙っていられない


彼が以前どんな扱いを受け、何をきっかけにそのトラウマが発症するのか全く把握できていないこの状況で、不利以外の何物でもない戦場に送り出すなんて何を考えているんだ


そう強く目で訴えかける


大将は一瞬怯んだように頬を引き攣らせたが、一つ咳払いをしため息をついてから居住まいを正した


それに習うように俺も背筋をピッと伸ばす


扇「……多分、お前に取り繕っても意味は無いだろうから正直に話そう。この決定に特別な意図はない。九条なら大丈夫、だなんて確固たる自信も勿論無い」


薬研「じゃあ……!!」


扇「だけど!……だけどあいつがやりたいって言うことはやらせてやりたい。前任の元で我慢させられてきた分、少しずつでも」


薬研「大将……」


強く握りしめていた拳をふっと解した大将はうつむけていた顔を上げる


その表情は慈愛に満ち満ちていて……


扇「俺はあいつに成功だけの道を歩ませたいわけじゃない。失敗とか後悔とか……そんなのも沢山背負いながら“この本丸の皆と同じように”成長させてやりたいんだ。………頼む、薬研」


心の通ったしっかりとした声色で俺に頭を下げてきた


流石の俺も一瞬戸惑いはしたが、ふっと笑って大将の頭をポンポンと2回軽く叩く


薬研「そこまで言われちゃ断れねぇな。………任せろ、俺が居るんだ。ちゃんと連れ帰ってくる」


その言葉に大将はバッと顔を上げた


扇「やげんんんんん……イケメンすぎかよお前………抱いて………」


薬研「男に興味はねぇな」


扇「ガチレスやめろ」


スンッ……と座った目で真顔に戻った大将に笑いがこみ上げてくる


薬研「……よし。じゃあ俺は戦支度に取りかかることとしよう」


扇「……頼んだぞ」


なんだかんだ良いながらもやはり不安をぬぐいきれないような彼に背を向け、振り返らないまま後ろ手に手を振り部屋を出た

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凛音 - 本当に面白いです!続きがめっちゃ気になります!頑張ってください! (9月26日 19時) (レス) @page40 id: 0943923905 (このIDを非表示/違反報告)
りす(プロフ) - 中二病の主人公!新しくて大好きです!続きとても楽しみに待っております! (7月18日 19時) (レス) @page40 id: 6cf6d64f42 (このIDを非表示/違反報告)
ぬーぬぬーぬぬー - 続きをお恵みください… (2022年11月23日 0時) (レス) @page40 id: 8435a17515 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 続きが速く見たいです (2022年9月24日 19時) (レス) @page40 id: 730adcd2c0 (このIDを非表示/違反報告)
YM - このお話大好きです!作者様の負担にならない程度に更新してくださると嬉しいです (2021年12月27日 15時) (レス) id: 0c982d92bb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:りんご | 作成日時:2018年5月13日 18時

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