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ウヌは俺に丁寧に尋ねる。ここの本棚に来て早々Aさんにキスしようとしたからまだだよ……！
まだ、とだけ伝えるとウヌは「じゃあ俺とチョンくんでこっち探そうか」と提案した。
未だ動揺しているAさんはよろめきながら反対の端から本を探し始める。
図書館は薄暗いからはっきりと分からないけど、Aさんの頬っぺたは微かに赤かった気がする。
それに俺がしようとしたキスも嫌がってなかったし……、？
「チョンくん」
「、な、何」
「チョンくんってA先輩のこと好きなの？」
「！？な、なん、」
「だってキスしようとしてたから」
見てたのか！？
「はは、誰かに言うなんて野暮なこときないから安心して」
「……Aさんを好きだったら何かあるのかよ」
「僕で良ければ協力しようか？」
こいつは一体何を考えているんだ。
ぶっきらぼうに答えた俺に、ウヌは優しく笑みを浮かべている。
「……何で？」
「何でって？」
「何で俺に協力すんの」
「あー……」
ウヌは照れたように目をそらす。
「……僕、実は君と話してみたくて、」
「……え。」
予想外の言葉に俺の口は半開きになった。
「クィディッチで見てたよ君の活躍。敵チームなのについ君の動きばっかり見ちゃって……、言うなればファン、かな？(笑)」
なんてウヌは照れたように言う。
「名前先輩には最近勉強とか色々お世話になってるんだ。それに同じ趣味もあるから会話の種にでもしてもらえたら……」
ウヌとAさんに同じ趣味がある、だ、と！？！！？
「同じ趣味って何」
「ドラゴンが好きなんだ。
A先輩の書いたドラゴンについての生物的見解と飼育、その他についてのレポートを読んだんだけどかなり凄いんだよ？専門家みたいだ」
Aさん、ドラゴンが好きなんだ。
可愛い見た目してるからピグミーパフみたいな小さくてフワフワした動物が好きなのかと思ってた。
「な？会話の種になるだろ？
……その代わり、」
ほら、やっぱり何かあるに決まってる。
「僕にも時々でいいからクィディッチのこと教えてくれないか？まだルールをいまいち把握出来てなくて……」
「……そんなことでいいの？」
「僕にはそれが今1番必要だよ」
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作者名：哺乳瓶
| 作成日時：2023年4月25日 17時
