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「はあああぁ…」
深い溜め息を吐きながら夜空を見上げた。
ここで見る満天の星空は、生まれた町で見るより少し近く感じる。
心は曇っているが、この星達はとても綺麗だと思った。
これをA先輩と見れたらいいのに。
少し前の隣にいるだけで心地いい、あの関係に戻ることが出来るだけでいい。先輩のことを考えれば考えるほど会いたくなった。
頭が痛くなるくらい悩んで、
避けられても、
やっぱり先輩を好きな気持ちはやめられない。
きちんと誠意を持って明日、話し掛けてみよう。そうしたらきっと、先輩も分かってくれるはず。
その時、外階段から誰かの足音が近付いてきた。
秋の夜風が吹いて伸びた前髪を揺らす。
前が見えなくなって顔を振って視界を戻したその時、
見えたのは
会いたくて会いたくて、
仕方がなかった
「A先輩…」
『あ……』
先輩の瞳が明らかに困ったように揺れたのが分かった。
やっぱり、困らせてるのは俺だ。
こんばんは、と挨拶して同じ言葉が返ってきたけど、俺達の間に流れる空気はぎこちない。
体調の事を聞くと一瞬きょとんとしたが、慌てて先輩は大丈夫だと力強く言った。
とりあえず元気ならいい。
夕食時に大広間にいなかったことを伝えると、先輩は分かりやすく目を逸らした。
『お腹が空いてなかったから』
そう言った途端、先輩の腹が盛大になった。
そんな嘘をついてまで、空腹を我慢してまで、俺に会いたくなかったんだろうか。
気持ちを受け入れてもらえないって、こんなに苦しいことだったかな。
『ジョングクくん……？』
つい顰めてしまった俺につられてなのか、A先輩まで眉を下げてしまった。
あぁ、俺はあなたのそういう優しいところに俺は惹かれたんだ。
それなのに当の本人は俺の気持ちを受け入れてくれない。
俺の事が迷惑なら突き放してくれればいいのに。
俺の好きな人はなんて残酷な人なんだろう。
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作者名：哺乳瓶
| 作成日時：2023年4月18日 16時
