幸せ��*剣城京介 ページ37
.
.
｢……こんにちは、剣城くん…｣
｢…どうもありがとう…｣
｢…また明日ね、ばいばい……｣
あいつはいつも思いを伝えてくれた…
苦しかったかもしれない、辛かったかもしれない、
だけどいつも明るく振舞っていた…
こんなことになるなら、
俺も素直に思いを伝えればよかった……
俺はいつも、気づくのが遅い……
.
.
学校帰りに兄さんの病院へ来て、
今から帰るところだ…
兄さんはサッカー部のことを聞きたがる…
今日は松風が廊下ですっ転んだ話があったため
話すことがあったが明日は何かあるだろうか……
そんなどうでもいいことを考えて
エレベーターまでの廊下を歩いていると
急に左からぶわっと風が吹いてきた…
風が吹いてきた方をみると、
病室の窓を開けて風に髪を遊ばせている
入院着を着た同い年くらいの女がいた……
体の線が細く、髪色や肌は色素が薄い
全体的にふわふわとした印象を与えるその女に
つい見惚れて立ち止まっていると、
ゆっくりとこちらに顔を向けた…
｢……こんにちは…｣
そう言って戸惑いながら微笑む女は
整った顔立ちをしているが少し幼く見える…
年下か……？
｢……風、強かったですよね…？
ずっとベッドに寝てると風浴びたくなっちゃって…｣
剣城｢……別に…｣
｢…………そうですか……すみません……｣
なぜか謝る女……
俺の言葉は足りないと、よく言われる
謝らせたのは、俺だ……
剣城｢……気にしてない、好きにしろ、って意味だ…
…俺は、怒ってない……、謝るな…｣
そう言うと、きょとんとした顔で
こちらをじっと見ていたけれど、
にこ、と効果音がつきそうなほど微笑んで
女は言った…
｢…ありがとう、優しいんですね……
……あの、もし良かったらお話しませんか……？｣
俺が、優しい……？
見ず知らずの女に俺の何が分かるのか……
そう思いながら、俺はきっと、嬉しかった……
だからこう答えた……
剣城｢……あぁ｣
その後、時間を忘れるくらい、話をした……
女の名前は、A Aと言うらしい……
俺と同い年の中1。
なぜ入院しているかまで、聞いていない…
肌の白さからあまり外に出ておらず、
体の弱い印象を受けた…
もしかしたら昔から入院しているのかと思ったら
深く聞けなかった……
｢……また明日ね、剣城くん｣
その笑顔を見たら、
今はまだ、知らなくてもいいと思った……
.
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 74人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あやか(プロフ) - 瑠璃さん» わ、元気を出して貰えたなら良かったです！コメントして良かった(｡･･｡)ご自分のペースでゆっくり更新してくださいね、続編も楽しみにしてます頑張ってください！(●´▽`●) (2020年5月13日 15時) (
レス) id: 9edf19eee5 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃(プロフ) - あやかさん» コメントありがとうございます！最近あまり良い文章を書けなくて悩んでいたのですが、なんだか頑張れそうです.☆.｡ありがとうございます！ (2020年5月11日 12時) (レス) id: 75384eaf90 (このIDを非表示/違反報告)
あやか(プロフ) - 初めまして！最近夢小説にハマっていて、こちらの作品にたどり着きました。キュンキュン止まらなくてやばいです…!!最近見た作品の中で1番好きです…(´；ω；`)ｷｬｱｱ (2020年5月7日 21時) (レス) id: 9edf19eee5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：瑠璃 | 作成日時：2012年3月27日 14時
