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「本気だったんだろ?」









タバコの煙を吐き出し目を細めて
外を眺める北山さん。









彼氏彼女じゃない。
結婚してんだもん、彼氏には勝てても
旦那には勝てない。
それが結婚ってもの。
そう言われてる気がした。









「本気なわけないじゃないですか……
だって結婚してんだもん」









意識に反して声は震えてた。









「それならいいけど
それなら子供見に来てやってくれよ」











って言う北山さん。
俺の事ためしてるように見えた。









北山さんの事だからきっと分かってる。
俺の気持ち。









俺はその子供を見てどんな気持ちになる?
会いたくはないよ、
でも、社会人として出産祝いを渡すのが普通









「わかりました
奥さんが嫌じゃなきゃ行きます」









「きっと会いたがってるよ、言わないけど」









って。









会いたがってる?みづきが?
勝手に去ってたくせに、本当に悪い女。









「わかりました。」









悔しくって、
何も出来なかった自分に。









普通の事。
結婚してんだよ?2人は。
子供できたって不思議じゃないじゃん。









男の子が生まれたんだよ?
念願の男の子が。









みづきの幸せ……
潔く身引くって思ってたじゃん。









がやにもそお言ったんだから。









いざとなると、そんな簡単に行かない。
まだ考えてる。アイツのこと。









もちもちした可愛いほっぺたも









くりくりな目も









白い肌も









耳まで真っ赤にして笑うところも









柔らかい唇も。









北山さんより知ってる。









……はずなのに
今はもう何も知らないみたいな感覚。









悔しい……









ハンドルをギュッて握って
唇キュって噛んでた。









「おい、スピード出しすぎだぞ」









って言葉に我に返った。









「大丈夫か?」









「はい……すいません」









北山さんは心配そうにこっちを見てた。









そんな視線も気になんないくらい
また自分の世界に没頭してた。









俺……まだ好きみたい。









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作者名:みつこ | 作成日時:2018年5月19日 0時

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