駆け上がれ！2

45.年下の男の子 ページ17

順位発表の翌日。
残った60人は大きなスタジオに集められ、そこで次の課題、グループバトルの為のチーム分け、曲決めが行われた。

順位が高い者からチームのメンバーを決められるという下位の練習生にとってはキツい方法に、障害物レースで曲を決めるという斬新な方法。
大きな盛り上がりをみせた合宿1日目を終え、新しく決まったチームごとに同じ部屋となる宿舎へと戻る。
そして明日からの練習に備える、そんな少しの憩いの時間にことは起こった。


「あーきー！今日も一日頑張ったねぇ！えらかったねぇ！」
「ちょ、ちょっと待って待って！恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい！！」


夕食時、一際盛り上がりを見せるのは北川玲叶がメンバーを決めたチームの座るテーブルだ。
Aが古屋を抱きしめ、古屋がなんとか逃れようとしている構図が出来上がっている。


「もう！子供扱いしないでください！」
「えー子供じゃん」
「子供じゃ……ないこともないですけど！」
「Oh my goodness!!!! So cute!!! Like an angel!!!!!!」
「Aー、落ち着けー」


古屋に頬ずりする勢いでぎゅうぎゅうと抱きしめるAを、鈴木雅がたしなめる。


「だってさぁ、しょうがなくない？！あき、めっちゃ頑張ってたじゃん今日！風船一番最初に割ったんだよ？！超ブラボーじゃん、それでみんな第一希望の曲取れたんでしょ？！はいみんな拍手ー！」


一応Aの言う通りに拍手をするメンバー達だが、彼らに覇気はない。
特に北川玲叶は、む、とした口のままやる気なさそうに手を叩いている。


「ちょっと玲叶、もっと拍手！ほら！」
「えー、だってAちゃん、亮人ばっか構うもん」
「なに、拗ねてんの？かーわーいーいー！」
「なにその付け足した感じ。まじでそんなのいらない」
「ふふ、顔赤くなってるよー？」
「なってない！」


Aのターゲットは古屋から北川に変わる。
ようやくAの腕から抜け出た古屋はほっと息をついた。


「Aちゃん、あんまり高校生組いじめすぎると、ともくん呼ぶよー？」
「うわ、やめて、ゴリゴリ筋肉来たら私のエンジェルちゃん達が怖がるじゃん」
「待ってまさかの散々な言われようにびびってる」


岩崎が助け舟を出すように言えばそれは意外と効果があったようで、すんっと真顔になったAは北川や古屋から一定の距離を置いた。
それでも数秒後には再び古屋の隣にぴったりと着いて構ってしまうAを、古屋は嬉しさの滲んだ顔で嫌がるのだった。

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