怪盗ラストVS我々だ!Ⅵ【d!】 (ページ43)

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Ⅳ-93個目　手助けページ43

【グルッペンside】

俺は探す場所を決め、まずAの墓に向かった。

Aの墓は、いつも花が絶えなかった。

きっと、俺以外にも花を添える奴がいるのだろう。

怪盗達とか、俺の仲間とか。

花束を抱えて墓の前に立つ。

「…A。今日の花はネリネやで。花言葉は＿＿」

『また会う日を楽しみに、か』

突然、目の前に真っ白な女性が現れた。

瞳は真っ赤で、綺麗に輝いている。

彼女を見て、一番最初に思ったことは「美形」。

次に、「人間じゃない」…。

彼女の背中には、黒い翼が生えていたからだ。

ただ…見覚えがあるような…

『…そうか。五年前、私はAの体を使ったからお前らからすればAの顔立ちのまま、戦ったのか』

うんうん、と一人で納得している女性に、言葉が出てこない。

てか、なんでAの名前を………あ。

「まさか…お前がアインスか…？」

恐る恐る聞いてみると、アインスはふんわりと微笑んだ。

『あぁ、そうだ。初めまして…なのか？』

Aの墓の上に座っているアインスの肩を揺さぶる。

「アインス、Aは…Aは何処にいるんや!!」

アインスが手掛かりだ。

最後に、きっと一緒にいたであろうアインスが…!!

何故自分の前に現れたかはわからないが、こんなチャンス、二度と無い。

瞬間。

俺の髪が強い風でなびいた。

その風は周囲の花を巻き込んで花吹雪を起こす。

その美しい光景に目を奪われていると、アインスが口を開いた。

『これは、今までの謝礼だ。そして、償い』

何の、とは聞かなかった。

アインスの表情で読み取ったから。

多分、Aのこと…。

『…グルッペン、伝えることがある』

アインスは、俺に近付いて耳元で囁く。

『＿＿Aは、全ての始まりの地にいる』

そう言って、消えてしまった。

始まり…地…。

「…!!」

一つだけ、心当たりのある場所が浮かんだ。

俺はすぐさまその場所に行こうと振り返るが、ふと思い出してAの墓にネリネを添える。

「…今、行くからな」

呟いて、走り出す。