ピンチ！ ページ5
素直になれない。
ずっと、素直になりたかった。
恋愛感情を向けることのない人には、まだ比較的真っ直ぐ言葉を言えるのに、なんでこんなにも、櫻井くんの前だと言葉が出なかったんだろう。
まぁでも、さぶろーくんであるからこそ、幸せになってよ、とちゃんと言えた所はあるけれど。
「ほら、涙拭いて。もう喫茶店目の前だからさ、泣いたまま入りたくないでしょ？」
さぶろーくんが目尻に溜まった涙を拭ってくれる。
「うん、ごめん、」
「ううん、こっちこそごめん、泣いてくれるとまでは思わなかった。…ちょっとだけ、嫌われちゃったりしたらどうしようとか思ってた。」
「別に、嫌ったりなんかしないでしょ、さぶろーくんだよ？」
「…うん、ありがと、Aちゃん。」
にぱって笑う笑顔がどこか寂しい気がしたけど。今日はAちゃんの大好物ツアーだよ〜って明るい声を出したさぶろーくんが私の手を引いて嬉しそうな顔をするもんだから、少しほっとして笑みが零れた。
ごめんね、応えてあげられなくて。こんな女をずっと好きだったと言ってくれたことに、尊敬と感謝の念が絶えない。ありがと、さぶろーくん。嬉しくて哀しくて、羨ましいと思ってしまった自分を恨んだ。さぶろーくんは辛いのに、羨ましいなんて、烏滸がましい事。片想いの辛さは、自分が1番知ってるはずなのに。
「よし、もうこの話は終わり！男のさぶろーからいとこのさぶろーに戻ります！行こっ、Aちゃん。」
「ふふ、うん、行こっか。」
そして、美味しい紅茶を頂くために、喫茶店に足を向けた。
その瞬間。
「っおい！」
勢いよく掴まれる肩。ぐえっ、と喉の奥が鳴った。さぶろーくんに引かれていた手がぐんと伸びて足が縺れる。バランスを崩して体が後ろへ向かうのが分かった。
「……っぶな！…は、ちょっと、何するんですか突然！……Aちゃん、大丈夫？」
間一髪のとこでさぶろーくんが支えてくれて、尻餅をつかずに済んだ。っはー、ビビった…何事…？
私の肩を掴んだ人が居るであろう方向に顔を向けると。
そこには。
「…っあ、悪ぃ、A。」
はっと我に返った様な櫻井くんと、後ろには、やっちまったよ…って顔の松本くん、さぶろーくんを睨む二宮くんが立っていた。
「ﾋｪ………まじでｪ………？」
コロサレルヨーコロサレチマウヨー
と脳内で警報が鳴るのが聞こえた。
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あま - いつも楽しく拝見させて頂いてます!!! これからも応援してます!!! 頑張ってください!!!!! 待ってます!!!!! (2020年3月18日 1時) (
レス) id: 5287825b4c (このIDを非表示/違反報告)
さおりんご(プロフ) - とても面白く、いつも胸キュンしながら読ませていただいています。陰ながら応援させて頂いてますので更新頑張ってください！ (2020年3月17日 3時) (レス) id: 27caed879b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：藤乃 | 作成日時：2020年2月1日 0時
