羨ましいなあ！ ページ4
「ごめんね、ほんとは言わないつもりだったんだけど。踏ん切りつかないしさ。サクライさんって人が好きなんだなーって気づいちゃったから、もういよいよ諦め時なんだなーって思っちゃって。Aちゃんが好きになるくらいの人だもん、たぶん、変な人じゃないよね。でもやっぱり、簡単にはあげないけど！」
「…うん、」
「ほら、喫茶店見えてきたよ！……えっ、あーぁ、もう、どうしたの？泣かないでよ。」
なんだか鼻の奥から熱くなって、視界が滲んだ。誰のせいだと思ってんのよ、相変わらずおばか。さぶろーくんが、私の顔を覗き込んでわたわたとする。
ずっと片想いとか、辛いだけでしょ。なんでこんな平凡極まりない天邪鬼で可愛げのない女にそんな片想いしてたんだ。さぶろーくんを否定するわけじゃないけど。わけわからん。
なんで好きな人が居るんだとわかった私に、そんなに真っ直ぐ、好きだったよ、って言えるんだ。さぶろーくんがなんだか後光が差して見えた。菩薩かな。こんなの泣かせに来てるに決まってる。
私には無理だ。こんなに素直に、好きだって言えない、好きだったよ、って言えない。きっと櫻井くんが他の人と結婚したって、上辺で塗りつぶした笑顔で嘘で凝り固まった言葉でおめでとうとしか言えない。
ああ、いいなあ、さぶろーくん、羨ましい。さぶろーくんになりたい。さぶろーくんを、好きになれたらよかったのに。いいなあ、いいなあ。
振った奴が好きだったよ、って言ってきた人に、いいなあ、なんて思うの変なんだけど。そんで泣くなんて、すげー頭のおかしい奴だけど。それでも、それでもね。
「さぶろーくん、」
「ど、どうしたの？そんなに嫌だった？ごめんね？」
今にも泣きそうな顔するさぶろーくんに申し訳なくて、涙を止めたかったのに、ぽろぽろ、少しずつ溢れる。
「違うの、違うんだ、さぶろーくん。」
「泣かないで、俺、笑ってる顔が好きなの。」
「うん、あのね、さぶろーくん、」
「なに？どうしたの？」
「さぶろーくん、あのね、さぶろーくんも、幸せになってよ、絶対だかんね。私もさぶろーくんをそう簡単にお婿に出さないから。変な女に引っかからないでよ。」
そう言うと、さぶろーくんが悲しいと嬉しいを混ぜたような顔して、くしゃっと笑った。
羨ましいんだ、さぶろーくん。あなたのその、優しくて残酷なくらいの、真っ直ぐな素直さが。
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あま - いつも楽しく拝見させて頂いてます!!! これからも応援してます!!! 頑張ってください!!!!! 待ってます!!!!! (2020年3月18日 1時) (
レス) id: 5287825b4c (このIDを非表示/違反報告)
さおりんご(プロフ) - とても面白く、いつも胸キュンしながら読ませていただいています。陰ながら応援させて頂いてますので更新頑張ってください！ (2020年3月17日 3時) (レス) id: 27caed879b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：藤乃 | 作成日時：2020年2月1日 0時
